中国の王毅氏は2004年9月から2007年9月までの約3年間駐日大使だった人物で、武大偉氏の後任として着任し、日本通の外交官として知られ、流暢な日本語で日本の大学や記者クラブで講演を行うなど、積極的に活動していたそうです。
王毅氏が中国の「戦狼外交」の急先鋒として、国際舞台で日本の高市政権を「アジアにおける非常に危険な変化」「(日本国民は) 極右の過激派に振り回されるべきではない」などとあからさまに敵視して攻撃したことは記憶に新しいですね。
彼は現在、中国共産党中央政治局委員(党の最高指導部メンバー・トップ24の1人)、中国共産党中央外事工作委員会弁公室主任(外交担当トップ)、外交部長(外務大臣・兼任)という地位まで上り詰め、習近平国家主席の側近、最も信頼されているブレーンの一人なのだそうです。
王毅氏の発言にもみられる、日本に対する現在の中国の姿勢について、英ノッティンガム大学で日中関係を研究しているルイス・イブスという方がその理由を分析している記事があったのでご紹介しておきます。
この記事では、中国が日本からどれだけの技術提供という実利や、多額のODAでの開発協力を受けてきたのか、中国が特に虚構の数々を織り込ませた反日教育を自国民に対して行うことに注力し始めたのが、特に天安門事件後からであったこと、中国国内でクーデター未遂が起きて多くの共産党軍(人民解放軍)幹部が粛清されていることなど、習近平政権が中国国内で危機的状況であることなどの内部事情については一切語られていません。
ただ、中国の現在の外交姿勢は米国と現在の国際政治の混乱から、利益を得たいとする現れであり、国際的な舞台を利用して自国を米国に代わるグローバル・リーダーに押し上げようとする中国側の意図、自分たちが国際システムや国際法といった西側的な価値観の守護者だとアピールしたいのだろうとシンプルに分析しており、これは確かにそうした狙いがあるようです。
26年3月15日付のクーリエジャポンの記事要約です。
「戦狼外交」を脱却したはずの中国はなぜ日本にだけアタリがきついのか
中国は高市政権の発足後、強硬な対日姿勢を貫いている。中国はいわゆる「戦狼外交」から方向転換しつつあったが、なぜ日本に対してだけ、攻撃的な態度をとり続けるのか。
2025年2月にドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議において、中国の王毅外相は、日本で軍国主義を復活させようとする危険な兆候があると非難した。さらに日本の高市早苗首相のいわゆる「台湾有事発言」を引き合いに出し、日本がこの問題に対して軍事介入する可能性を示唆したことはあからさまな挑戦であり、中国としては許容できないと主張した。
王毅は、日本のこうした姿勢は「アジアにおける非常に危険な変化」であり、日本国民は「極右の過激派に振り回されるべきではない」と付け加えた。
中国の戦狼外交は、2010年代後半から見られる威圧的で排外的な対外戦略であり、多くの外交官や当局者がこの方針を踏襲したものの、2023年頃から中国は方向転換し、世界平和の担い手と評価されるような地位を確立しようとしてきた。
ミュンヘン安全保障会議での王毅の発言には、戦狼外交の特徴が表れていたが、これは中国が現在の国際政治の混乱から、利益を得たいとする現れのようだ。
ミュンヘンで見せた「日本への脅し」
「戦狼」という言葉は、2014年制作の中国の戦争アクション映画『戦狼』に由来する。本作は、元特殊部隊員が欧州の民間軍事会社やアフリカの反乱軍と戦うという筋書きで、中国国内で大ヒットを記録した。これに伴い、中国のナショナリストのなかで「戦狼」と呼ばれる人たちが台頭。
彼らは中国の当局者に対して、強い立場で外交に臨み、必要であれば威圧的な言動をとるように求めた。ナショナリストから支持を必要としている中国共産党にとっても、戦狼の影響力は大きく、「映画の主人公が敵に対して容赦なく武力を行使したように、強硬な対外政策をとるべきだ」という彼らからの圧力を受け、中国の外交官らは諸外国に脅迫するような態度をとった。中国政府の狙いは他国からの批判を封じ込め、国民に自国の強さを見せつけることだった。
戦狼外交の事例として、たとえば2020年、、国際ペンクラブのスウェーデン支部が香港の書店経営者である桂民海(グイ・ミンハイ)に対し、言論の自由に貢献した人物を称える「トゥホルスキー賞」を授与した。中国政府を批判する書籍を出版していた桂は、不当な罪で収監された後に懲役刑を科されていたが、これに対し、当時の駐スウェーデン中国大使だった桂従友(グイ・ツォンヨウ)は、「我々は友人には美酒を振る舞うが、敵には散弾銃を用意している」とスウェーデン政府を威嚇するような発言をしている。
王毅もミュンヘン安全保障会議で、日本に似たような態度をとった。現在の日中関係の緊張について問われた際、彼はかつて日本が暴力的な植民地主義をとっていたことに触れ、「もし日本が古い道に戻るなら、それは行き止まりになる。再びギャンブルを試みるなら、その損失はより壊滅的なものになるだろう」と述べた。
対日強硬姿勢に隠された外交意図
王毅は、戦狼外交を代表する政治家であり、国際会議の場で他国に脅しをかける彼の姿を見て、中国の攻撃的な外交姿勢が復活したと見る向きもあるが、ミュンヘンでの彼の言説を俯瞰すると、そこには冷静な戦略が隠されているようだ。
王毅は同会議の基調講演で、国際社会におけるグローバルな協力と連携の重要性、国連の存在意義について語り、ロシアとウクライナの和平交渉に対する欧州各国のより積極的な介入を求めた。さらに2026年1月の米国によるベネズエラ攻撃の事例をあげ、米トランプ政権の外交が国際法を棄損していると批判したが、これは、国際的な舞台を利用して自国を米国に代わるグローバル・リーダーに押し上げようとする中国側の意図のようだ。中国は、自分たちが国際システムや国際法といった西側的な価値観の守護者だとアピールしたいのだ。
第2次トランプ政権下の米国と他の西側諸国の関係が不安定化するなか、西側からの寵愛を得るための戦略を中国は巧妙に画策した。こうした外交姿勢はミュンヘン安全保障会議の前から始まっており、すでに成果を上げている。欧州における米国の最も親密な同盟国・英国でさえ、観光ビザ取得要件の緩和や情報活動の共有といった新たな協定を中国と結んでいる。
王毅はミュンヘンで日本を攻撃した。中国のナショナリストは外国からの干渉全般を敵視しているが、特に日本に対して強い反日感情を持っている。中国のナショナリズムは、1839~1949年に中国が他国に搾取された「屈辱の時代」という歴史認識に依拠しており、日中戦争(1937〜45年)に対する反感が根強く残っている。王毅がとくに日本に強硬な姿勢をとるのは、かつて戦狼外交の急先鋒だったという彼の経歴や、中国に蔓延する反日感情、現在の日中間の緊張などが影響しているのだろう。
茂木外相は冷静な態度で、中国のこうした発言を即座に一蹴なさっておられます。
ミュンヘンでの国際会議に日本から参加していた茂木外務大臣は公開討論の場で間髪入れず、「中国の参加者の発言は事実に戻づいていない」と反論。
王毅氏の肩書や氏名すら出さず、恰も中国側のこうした発言をただの「不規則発言」であるかのような扱いに格下げしてみせて、記者団から「王毅氏と接触はあったのか」と問われると、「人混みでみかけなかった」とお答えになったのだそうです。
これが現在の冷静かつ国益にそった日本外交ということだと思います。
中国は「ペトロ元体制」を構築しようとしていた、それを挫く狙いが米国のイラン攻撃の隠された意図だった?
中国の工作活動は日本にとって実際の脅威でもあり、政治の中枢にまで深く深く浸透しています。これまで連立与党だった公明党の高市政権誕生への足の引っ張り、高市早苗総理が総裁選に勝利したあと自民党内に「総裁選のやり直し」などを主張する船田元衆議院議員のような人物までいること、旧立民の岡田克也前議員の様に恰も中国の代弁者そのものでもあるかのような国益に反する親中国会議員が多数いること、高市総理を一方的に批判していた反日マスゴミなど、日本国民は漸く中国の浸透ぶりの深刻さに気づいた。
それが少なくとも、無気力に国を中国に明け渡そうとしているかの様な石破政権以前とは明らかに異なる方向性をもち、2013年の安倍総理と同じく、ホワイトハウスで堂々と「JAPAN IS BACK !」と宣言して下さった高市早苗総理に対する圧倒的支持率の高さにも繋がっているわけでしょう。



