【アシナヅチ・テナヅチ/大蛇に娘を喰われた国津神】

@art.mochida.daisuke
アシナヅチ(足名椎命)テナヅチ(手名椎命)は、ヤマタノオロチ退治の
説話にクシナダヒメの親神として登場する夫婦神です。
誓約の後にスサノオが高天原で暴れ、その結果アマテラスは
岩戸に閉じこもることになってしまいました。
世界は闇夜に覆われ、数多の災いが高天原を襲います。
神々は何とか岩戸からアマテラスを出すことに成功しますが、
元凶となったスサノオを高天原から追い出しました。
スサノオは行く当てもなく出雲の肥河の鳥髪という地にある川沿いを歩いていると、
上流から箸が流れてきたので「誰が住んでいるのだろう?」
と付近を探ると一軒の家にたどり着きます。
スサノオがこっそりのぞくと家の中で老夫婦と娘が泣いていました。
老夫婦になぜ泣いているのか尋ねると、
「私たち夫婦は山の神オオヤマツミの子で、8人の娘がいたが、
毎年ヤマタノオロチがやって来て娘を次々と食べられてしまったのです。
最後に残った末娘のクシナダヒメを食いにオロチが
やって来る時期だったので、悲しみに暮れ泣いていたのです。」
スサノオが娘を妻に差し出す代わりにオロチ退治を提案すると、
老夫婦は喜んで了承し、スサノオの指示に従いオロチ退治のために八つの門を作り、
それぞれに強い酒の入った桶を準備しました。
準備万端で待ち構えていると巨大なヤマタノオロチが姿を現します。
その巨大さは山を八つ、谷を八つに渡るほどのもので、
巨大な目は鬼灯のように赤く、腹は血に染まっているかのようでした。
強烈な酒の匂いにつられて門に首を突っ込むと、
桶になみなみと注がれた酒を一気に飲みほしたヤマタノオロチ。
酒が回り眠った所を見ると、スサノオが飛び掛かり
剣でヤマタノオロチの首を次々と切り捨てていきました。
しかし、ヤマタノオロチの尾を斬りつけた時に
スサノオの剣が欠けてしまいます。
何事かと尾の中を割いて見ると都牟羽(つむは)の太刀が出てきたので、
これをアマテラスに献上しました。
この太刀は別名草薙剣(くさなぎのつるぎ)といい、
ヤマトタケルの危機を助けた太刀でもあり、
熱田神宮(愛知県名古屋市熱田区)のご神体でもあります。
スサノオが無事オロチを退治し須賀の地に宮殿を建てると、
スサノオはアシナヅチを呼び、宮の首長に任命し、
イナダノミヤヌシスガノヤツミミノカミ(稲田宮主須賀之八耳神)の名を与えました。
このことからアシナヅチは出雲の元々の地主神、
もしくは出雲国の王であったのではないかと考えられます。
神社関係者が物部の末裔との伝承を持つ氷川神社(埼玉県旧大宮市)の
門客人神社は元々荒脛巾(あらはばき)神社と呼ばれ、
謎の神アラハバキを祭る神社ですが、
ここには何故かアシナヅチ、テナヅチの
2神がアラハバキと共に奉られています。
このアラハバキがヤマタノオロチであるという説もあり、
その見張り役としてアシナヅチ、テナヅチが祀られているのかもしれません。
物部神の本来の祭神がアラハバキとも言われ、祟り神として神話に現れる
三輪山のオオモノヌシが蛇神である点、
物部の聖地であった大阪四天王寺の地にアラハバキ信仰の痕跡が残ることから、
オオモノヌシ=アラハバキ説もあります。
【祀られている神社】
手長神社(長野県諏訪市)
足長神社(長野県諏訪市)
須佐神社(島根県出雲市)
廣峯神社(兵庫県姫路市)
川越氷川神社(埼玉県川越市)など
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