九月の薔薇


庭の薔薇、
六月を最後に萎れ朽ちていたのだが、
九月に入って、暑さが少しばかりやわらぎ、
雨も降り始めたある日のこと、
ふと見ると、
そこには衝撃的光景があった。
まったく気づかなかったのだが、
鉢植えの薔薇は、
開花したもの五輪に、
まだ蕾のもの四つと空に向かって咲き競い、
枝先を見事な真紅に染めているではないか。
その数もさることながら、
そのことに気づきもしなかった
自分の方にもっと驚いてしまう。

再び胎動し、ひたすら命燃やさんとする薔薇。
一方、毎日その傍らを通り過ぎていながら、
気づきもしない私は、
なんと、ぼんくらであることか。
人間の目は、見ようとしていないものは、
視界に入ってはいても、網膜には映っていない。
このことは、万事に通じる。
よくよく肝に銘じておかねばならない。

ともあれ、遅ればせながらではあるが、
運よく目に留まり、ややもすると、
荒みそうになるこの心を和ませてもらった。

夏の終わり、
恋のハーモニーを聴かせてもらった心地である。
それは雨のおかげかもしれない。
頬なぶる風には、そこはかとなく、
秋の気配さえ漂いはじめている。
夏の終わりも近い。


今は遠き
あの夏の終わり
きみと歌いし
あの歌も
今はきみ
たれと歌うか
風に問う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

井上陽水×玉置浩二/夏の終わりのハーモニー

 

 

この小説「もうひとつの明日」は、1998年5月9日、同人誌『座礁』に発表したものの再掲載です。

 

過去にアップした小説

 

 

 

 

 

短編小説 恋文~往信 朗読版

 

短編小説 恋文~返書 朗読版

 

古くからの友人、高木早苗さんが、松江市観光大使を務める京太郎さんと、

ご当地松江を舞台にしたデュエットソング、

『さよならだんだんまた明日』をリリースされました。
とても素敵な歌ですので、是非聴いてあげて下さい。

不肖私めの撮影した写真も少しだけ入れてありますので、よろしくです。

 

「だんだん」は、出雲地方独特の方言で、ありがとうの意です。

 

 

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