河明かり


風もなく晴れ渡った静かな秋の日の暮方。
仕事の帰路見上げた蒼茫たる空には、
すでに半分を超えてしまっているが、
きれいな上弦の月が昇っている。
やけに綺麗なので、あとで調べてみると、
その日10月27日は、十三夜であったようだ。
十五夜は中国から伝わった風習であるが、
十三夜の月見は日本独自のものとされる。
「後の月」とも呼ばれるようであるが、
なるほど秋晴れの冴え冴えとした宵の空に、
青白く、くっきりと浮かび上がる月は、
天候にも恵まれる確率が十五夜よりはるかに高く、
それゆえ眼を瞠るほどに美しく、
未完成ゆえの魅力を秘めている。

予定はしていなかったが、河明かりが見たくなって、
車を引き返して、川の土手道へと向かった。
行き交う人もすでにないので、
道路脇に車を停めて、そぞろ歩く。
月明りに照らされた川面は、揺らめくこともなく、
うっすらと、地上の影を水鏡の如く映し、
静謐感があたり一面を包み込んでいる。
今日の日の良きことも悪しきことも、
もろともに河明かりに溶け込んでしまいそうである。

話し変わって余談なのであるが、その夜のこと。
家の庭に少しばかり生った富有柿を食べようと、
皮を剥き、食べやすいように四等分に切ったのであるが、
その中のひとつの断面を見ると、
薄い種の面を見事水平に、まるで三枚に下ろした魚のように、
まっぷたつに切り裂いているのである。
そして、種の中を生まれて初めて観て驚いたのであるが、
中には、すでに葉っぱが誕生しているのである。
これは記録に留めておかねばとカメラに収めた。
こんなところにも命の不思議はあったものだと、
まるで知識乏しい少年が抱くような新鮮な歓びを禁じ得ない。
柿の種を水平にまっぷたつに切り落とすなど、
偶然にしては出来過ぎている。
まるで宝くじを引き当てるほどの確率ではないか。
そう思うと、何だか妙にうれしくなってしまった。
その写真を最後に載せておきます。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

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