昨日「推敲をするときに、必ずプリンターで原稿を印刷します」ということを書きました。

テキストをふつうに印刷するだけでも十分に効果を得られますが、私がよくやるのが、実際の誌面と同じ「文字組」で印刷する、という方法です。

文字組とは、タテ組(縦書き)orヨコ組(横書き)、書体、Q数(文字の大きさ)、行間、字間などを総称した文字設定のことです。

たとえば、雑誌の場合、文字はタテ組とヨコ組の2種類があります。

どちらになるか分からない場合は仕方ありませんが、事前に誌面のデザインが分かっている場合は、実際の誌面と同じ文字組で印刷をします。

つまり、誌面上がタテ組の14文字×40行なら、タテ組の14文字×40行で印刷をします。

14文字×40行というのは560文字ですから、別にヨコ組の28文字×20行で印刷してもいいわけです。

560文字に変わりはないわけですから。

でも、実際にタテ組の14文字×40行で印刷したときと、ヨコ組の28文字×20行で印刷したときでは、見え方が違ってみえます。

もちろん微妙な違いではあります。

改行だったり、句読点の打ち方だったり、言い回しだったり……。

「タテ組だと漢字がしっくりいくけど、ヨコ組だとひらがなのほうがいい」なんていうときもあります。



レコーディングの最終局面にさしかかったミュージシャンが、よく完成に近づいた音源をパソコンやカーステレオでチェックするという話を聞いたことがあります。

なぜそんなことをするかというと、ミュージシャンはふだん音響設備の整ったスタジオで音を聴いていますが、実際にCDを買うリスナーたちは、パソコンやカーステレオでも音を聴くからです。

今ならiPodやiPoneで聴く人も多いでしょう。

だから、あえて設備の整っていない状態で音をチェックするわけです。

あるいは最終的な音決めをスタジオの高性能スピーカーではなく、パソコンの小型スピーカーで決めているケースもあるのかもしれません。



原稿を印刷するときに、実際の誌面と同じ文字組にするのは、このミュージシャンの作業に少し似ています。

実際の読者にどう見えるか、それを目で確かめながら原稿を完成させたいわけです。

最低限、タテ組の14文字×40行という大枠だけでもOKですが、余裕があれば、書体、Q数、字間、行間なども揃えるといいでしょう。

タテ組orヨコ組の次に大事なのは書体です。

書体を変えるだけで、文章の雰囲気はガラリと変わります。

同じ漢字でも、明朝体だと似合うのに、ゴシック体だと似合わない……。

そんなケースもあります。

ちょっとマニアックな話になってしまいましたが、原稿の印刷にまつわる私のちょっとしたコダワリでした。