インタビュー取材というのがあります。

ご存知の通り、取材相手は人です。

いいインタビューをするためには、どうすればいいでしょう?

雰囲気作りや質問力、コミュニケーション能力……など、相手から言葉を引き出す技術を身につける?

たしかにそれも大事かもしれませんが、一番ではありません。

一番大事なのは「下調べ」です。



多くの場合、インタビュー時間は1時間なら1時間と限られています。

相手が忙しいときは、30分や15分、いえ5分なんていうときもあります。

限られた時間のなかで有益な情報を引き出すためには、とにかく相手のことを徹底的に調べておく必要があります。

下調べをするメリットは、

1:当たり前のことを質問しなくて済む

2:事前に質問を整理できる

3:相手の性格を把握できる

4:相手が「おっ、ちゃんと調べてくれてるんだあ!」と気分よくなる(=取材に協力的になる)

どれくらいの下調べが必要かというと、「できるだけ多く」です。

たとえば、取材相手が著名人の場合は、各種紙資料をチェックするのはもちろん、雑誌の過去記事やインターネット上の情報にも目を通します。

また、著作や作品などがあれば、それらにもできるだけ目を通しておきます。



あるクルマ好きの小説家がいたとして、その小説家のクルマ好きとしての横顔を記事にする企画があった場合、ライターは何を下調べしておくべきでしょうか?

◎その小説家が現在どんなクルマに乗っているか。

◎過去にどんなクルマに乗ってきたか。

ふむふむ、たしかにそういう下調べは肝心です。

テーマの中心から情報を集めるというやり方も間違ってはいません。

がしかし、それだけでは30点です。



くり返しになりますが、下調べしておく情報は「できるだけ多く」です。

クルマ関連の情報を集めたから「はいおしまい」ではなく、本人に関連するあらゆる情報を集めます。

もしかすると、その小説家が自身の小説のなかで、クルマにまつわる何らかの描写を盛り込んでいるかもしれません。

ライターが事前にその小説に目を通しておけば、記事を書く際に、その描写を引用することもできるわけです。

もちろん、その描写を引用しなくても原稿は書けるでしょう。

でも、もし本当に印象的な引用ができたなら、原稿のクオリティはが然上がるでしょう。

原稿に「厚み」が出るとでもいいましょうか。

その「厚み」はライターにとってひとつの付加価値になります。



仮に取材相手の情報量全体が100で、そのうちの5しか記事にしない場合。

「どうせ5しか書かないんだから、情報は10くらい集めておけばいいかー」というやり方では、原稿に付加価値をつけることは難しくなります。

5しか書かなくても、50の情報を集める努力を、あるいは70、80、90、100の情報を集める努力をするのが、プロのライターです。

「せっかく100の情報を集めたのに5しか使わなかった。95はムダだったのかよ……」と思っているようではまだまだです。

「質のよい5を書くためには、95が必要だった」

そう思わなければいけないし、事実、その通りなのです。

よしんば(その原稿にとって)95が本当にムダだったとしても、そのムダな95がいつか役に立つ日がくるか分からないのがライターという仕事です。

そういう意味では、あらゆる知識や経験が、ライターとしての「血・骨・肉」になると考えるべきでしょう。


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