東北福島県の昔話
むか~し。奥州(いまの福島)の山奥。
三本枝と呼ばれる竹やぶがあったそうな。
そこは昼間でも薄暗く、人通りもすくなく人々は気味悪がって通るものも少なかった。
そこに一匹の人を化かすといわれるきつねがおり、人々たちがひどい目に合わされていました。
「日が暮れては三本枝に近づいてはならねえ・・・ひどいめに合わされるだ」
そういう噂が広がりその噂は強がりの彦兵衛という男にも届いた。
「ばかばかしい・・・・・きつねだかなんだかしらんが・・・・俺がとっちめてやる」
しかしそのことはしっかりときつねにはお見通しでした・・・・・。
彦兵衛は日が暮れるころ三本枝へとやってきた。
するとひとりの女がしずしずと赤子を抱いて歩いてくるのが見えた。
「こんな時間にひとりで・・・・・。ははーあ・・・これが三本枝のきつねだな・・」
彦兵衛はこっそりあとをつけた。
「おっかあ泊まりに来たよ」
「よくきたな。まあ入れ」
そういうと、娘は赤子を抱いてばあさまの家へと招かれた。
彦兵衛は、ずかずかといきなり戸をバタンと開けて怒鳴り込んだ。
「ばあさま、だまされるでねえ!そいつは三本枝のきつねだ!赤子もきつねが化けているに決まってる!」
そういうと、彦兵衛は赤子を奪い、囲炉裏のなかへ放り込んだ。
しかし赤子は、赤カブに戻ることなく、囲炉裏の中で死んでしもうた。
恐ろしくなった彦兵衛は、おもわず逃げ出してしまった。
「おのれ・・・・・突然上がり込んで、赤ん坊を殺すとは・・・・おのれ!」
ばあさまは恐ろしい形相へとかわりやまんばの姿へと変わった。
やまんばがものすごい勢いで走って追いかけてくる。
恐怖のあまり彦兵衛は無我夢中で逃げ惑った。
「俺はなんてことをしたんだ、謝りにもどろうか・・・・しかしあのばあさまが許してくれるだろうか・・・・」
男は生きた心地がしないまま、山を転げまわるように命からがら逃げ惑った。
すると、突然寺が現れた。
男は命ばかりはお助けと、その寺にすがった。
「助けてください!私はきつねと間違えてやまんばの赤ん坊を殺してしまったのです。恐ろしいやまんばがおってきます。どうか私を助けてください、どうかどうか。」
「よし・・・・・わかった。やまんばのばあさまをなんとか私がなだめてみよう・・・しかし、お前は人を殺した。その償いはしてもらう」
そういうと法衣姿のぼうさまは、男を匿った。
やまんばが恐ろしい形相が転がりこんできて恐ろしい声で怒鳴ってきた。
「ぼうさま!いま男が転がり込んできたじゃろう。そいつは私の息子を殺した男だ、
隠しても無駄じゃぞ。」
恐ろしく逆だった毛。
らんらんと血走った煮えたぎる恨みの目で睨みそういうと恐ろしい刃物をギラつかせた。もうそのばあさまは人間の姿ではなかった。
らんらんと血走った煮えたぎる恨みの目で睨みそういうと恐ろしい刃物をギラつかせた。もうそのばあさまは人間の姿ではなかった。
「ばあさま、男は私がなんとかするからお前さんはどうか帰ってくださらんか・・・・。私が息子の供養はしておこう。」
やまんばは、「そうか・・・・ならば・・・・・任せたぞ。。。。」
そういうとやまんばは消えるようと去っていった。
しかし試練はこれからだった。
彦兵衛は、罪の償いに、頭の髪の毛をぞりぞりとかみそりで切り出した。
血がときどきにじみ出た。
その痛いこと痛いこと。
「これだけの痛さどうする。お前はあのやまんばの息子を殺した。そのつぐないだ」
といいかみそりで剃り続けた。
どれくらいの時間がたったか・・・・・。
彦兵衛は、いつのまにか寺も消え落ち葉の中に寝かされていた。
頭はツルツルの坊さんのような頭になり、血だらけだった。
彦兵衛はすべて騙されていた。
情けないやら悔しいやら恥ずかしいやらの気持ちでいっぱいのまま、
無言で逃げるように村へ逃げ帰った。
それからというもの彦兵衛は、強がったり威張ったりはぱったりとしなくなったということじゃ・・・