山犬女房 | ウルフオルフェノクが行く!

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春になりましたね。

九州地方


むかしむかし、海辺の村にやじろうという名前の独り者の若者がおりました。


ある日、仕事を終えて家に帰る途中、村の神社の所で一人の美しい娘に出会いました。

娘は「私は山奥から分け合って追われて逃げてきました。
どうか匿ってください。一晩だけでもいいんです。どうか・・・」

そして家に連れて行ってほしいと頼みますが、

やじろうはかわいそうには思いましたが、見ず知らずの娘であったために、
関わり合うのはごめんだと思い振り切ってしまいました。




やじろうが家のすぐ手前まで来たときに、おおきな山犬がらんらんと目を光らせて、立ちふさがるように身構えて唸り声を上げていました。

恐怖で動けなくなってしまったやじろうでありましたが、

後をつけてきた娘が山犬をにらみつけるると、不思議な力に動かされたように山死ぬは無言でわかったかのように立ち去っていくのでした。

「やじろうさんお願いです!」と


家までさっきのあの娘が来たものだから
やじろうはおどろいて気を失ってしまいました。


気が付くと自分の家の中であり、娘が食事の支度までしてくれていました。

「今晩の食事もできています。」


「どうして・・・・・オラは稼ぎもねえ。」


「おいてくれるだけでいいんです。」

そこまで言う娘に動かされたやじろうはおいてやることにしました。


自分を嫁にしてほしいと頼むのでした。


娘は、ある夜に何かを察しいえを飛び出たかと思うと、
みるみるうちにおおきな山犬の王に変身しました。


娘は山犬の王の化身だったのです。




その頃、山奥の村では大規模な山犬狩りが行われていました。




狩人がその娘だった「山犬の王」に対して、山刀で切りつけました。


長いあいだ、沈黙の時間がすぎ両者にらみ合っていましたが、山犬のほうが逃げ去り、たしかな手応えを狩人は感じました。

額に傷をつけることができたのです。

そして、走り去ったあとには血の跡がついていました。


翌朝、やじろうが目を覚ますと、娘は家の裏で転んだといって、額をけがしていたのです。

「どうした」
と尋ねると、「転んだの。」と答える嫁。

「無理をするな休んでおるとええ。」

「あんた・・やさしかね・・・・。」
そういうと娘は涙を流しながら休むのでした。

ところが・・・・


そこへ血の跡を追ってきた狩人が、やじろうの家にやってきたのでした。


「このあたりに山犬が入ってきただろう!」


びっくりした山犬の娘は、険しい表情になり隠れて身構えていました。

「そんなのはおらん。第一山犬ならとっくにおらが食われている。」


「それもそうじゃのう。」


狩人は思い出しました。



「山犬の王は、人間に化けるという。。。」



再び、狩人はずかずかと入ってきて言い放ちました。

「娘!その額の傷はオラが打った傷だ!」

と言い放つと娘は苦しみながらみるみるうちにおおきな山犬に変わってしまいました。

狩人は山犬にしとめんとばかりに、銃を向けますが、
やじろうは涙ながらに


「やめろ!打つな!」

とかばいますが、遅かったのでした。


狩人の銃が、火を吹きました。


そこには、冷たくなったおおきな山犬の亡骸が横たわっていました。



やじろうは涙を流しながらいつまでも黙って見つめていました。


それにしてもなぜ、「山犬の王」はやじろうのところに来たのでしょうか。
「山犬の王」は海辺の暮らしがしたかったんじゃろうか・・・・。