長野県
昔信州に大金持ちの長者がおった。
その長者にはたまきという大変美しい娘がいました。
たまきが年頃になると、あちこちから嫁に欲しいとあちこちから声がかかりますが、
けちで有名だった長者はけっして首を縦には振りませんでした。
だがたまきはあるときからひとりの若者と人目を偲ぶようになっており
いつしか深い恋に落ちるようになっていました。
侍のようないでたちで、夕暮れどきになると、どこからともなくやってきて、
たまきとひと時を楽しんでまたいなくなるのでした。
とうとうこのことが、長者の耳に入り、長者は大変激怒した。
「男とあってはならん。」
たまきは嘆き悲しみました。
「わたしはもうあなたとは会えなくなるのです。どうかわかってください。」
とたまきは涙ながらに若者に涙ながらに訴えますが、
若者の姿はそこにはなくたまきがみたのは恐るべき山の大魔王の姿でした。
たまきは恐怖に怯え大魔王から逃げ出します
「逃げるが良い。どんどん遠くへ逃げるが良い・・・・」
大魔王は恐ろしい姿を現し、
たまきをさっととらえたところで、
たまきはがくっと気を失ってしいました。
たまきががくっと気を失った瞬間、狩人の矢が大魔王に当たり
大魔王はものすごい絶叫をのこし倒れてしまいました。
毒息を吐きながら倒れている大魔王ですが、
実は本当は死んではいなかったのです。
危ないところで助けられた娘を長者は、
その狩人にたまきをやることにした。
そしてその結婚式当日・・・・。
祝いに酔いしれている会場の屋根に不気味に蠢く怪物の姿。
突然障子が切り裂かれ、
鉄砲で死んだはずの大魔王が復讐にやってきたのでした。
巨大な姿となって、たまきをあっというまにこわきにかかえ黒雲にまたがり
雷鳴轟かせて白馬岳のほうへ帰っていってしまったということです。
それは一瞬の出来事でした。
長者の家では「たまきはおらんか!」とただ大騒ぎしていましたが、
たまきはけっして見つかることはありませんでした。
夜が明けて真っ白だったさくら草が真っ赤に染まっていました。
村人たちの噂では、飛び散ったたまきの血で赤く染まったのだと言われています。