宮城県
昔、ある村に桶屋の万吉という男が住んでおりました
親もみよりもない万吉でしたがどこか風変わりなところが
あり境内のあばら屋に住むようになっておりました。
万吉は物心ついた頃から自分の力で立派な家を建るという夢があり
せっせと働いてお金を貯めていました。
そしてあともうすこしで家が建つというところまで貯めた万吉さん。
幼い頃に聞いた「二十年間がんばれば自分の家が建つ」という話を信じて、
20年が経ち、いよいよ自分の家を建てる時がきました。
「やったあこれで家が建てられる。家が建つんじゃ」
大工に計算してもらったところ、どうーしても柱一本分だけのお金が足りませんでした。
頭を悩ませた大工さんは
「万吉さんよ、もうすこし稼いでからにしたほうがいいよ」と
いわれましたが、
どうしても二十年目の今日家を建て始めたかった万吉は、
よからぬことが頭をよぎりました。
「柱なら、あるぞ!あれじゃ!」
その夜こっそりと墓場へ行きました。
「これじゃ・・・」
万吉は中でも立派な施餓鬼柱(せがきばしら、木製の墓)を盗み出した。
いらない文字の部分を綺麗に削り取りました。
そして柱の上の部分を切り取り柱としたのです。
墓柱から作った立派な柱のおかげで家は無事に完成しました。
万吉は大喜びで新居に移り住みました。
「わしの家じゃ。このいろりも全部わしのもんじゃ。」
子供のようにはしゃいでうれしくてたまらなかった万吉さんは、その夜うれしくてなかなか寝付けませんでした。
ところが・・・・・
いい夢を見たのはここまでで、万吉に恐ろしいことが起こります。
その夜、万吉は何とも恐ろしい夢を見ました。
「万吉や、首はずせ・・・」
「万吉・・・・首はずせえ・・・万吉・・・・」
と、土の中からうらみのこもった恐ろしいうめき声が聞こえるのです。
そして土の中から気味の悪い恐ろしい死人の手が伸びて、
万吉の首を締め付ける悪夢にうなされるのでした。
その夢はただの夢ではありませんでした。
再び万吉が寝ると、また同じ夢でうなされるのです。
毎夜続く悪夢で、万吉はみるみるうちにやせ衰え、
仕事も出来なくなってしまいました。
「万吉や・・・首はずせ・・・」
そして毎晩うなされ続ける万吉は部屋に化け物の影の幻覚も見るようになりますが、
化け物などはおらず
柱が立っているだけなのでした。
そこで万吉は耐えかねて近くの流行り神様に拝んでもらう
「この家には死んだ者の恨みが柱についておる。なにか心当たりはないかえ。」
「ま、まさか・・・・。」
ヒヤッとした万吉は大急ぎで万吉は大工を呼んだ。
そして大工が言うにはこれがその柱だという。
万吉が確認すると、墓場から切り出した柱が家の大黒柱として使われていたのだった。
なぜか削ったはずのお経が浮かび出し、
しかも上下逆さまに建てられていたのでした。
万吉はすぐにその柱を外して、墓場の元にあった場所に戻しました。
しかし・・・万吉の家は、音を立てて崩れ去り、跡形もなくなってしまいました。
その後の万吉は、一生涯、マイホームは持てなかったそうです。
どんなに立派な材料でも、決して墓などに立てられた柱などでは
家を建ててはいけないという話だ。