誕生日の翌日は土曜日で、私は休みだったので、文具用品や包装紙、画用紙や紙類を入れている4段式の引き出しの整理整頓をした。
子供らがハサミやらセロテープやらを使ってあちこちに入れるから、定期的にやる。
この引き出しは義母がやはり文具用品入れなどに使っていて、キッチン端の犬の檻の横にある。

誕生日カードと誕生日用の包装紙を入れている段に来て、私は包装紙をガバッと掴み、一度床に取り出した。
するといくつもある包装紙の間から、黒い布袋が出てきた。
何かと思い中を開けると、義母が常に身に付けていたオメガの腕時計がプチプチ(例の梱包用のやつ)にぐるぐる巻きにされて布袋に入っていた。

ビックリした。
私はてっきり義母は腕に付けたまま棺桶に入ったと思っていたからである。
ロックダウン中、病院で義母の最後を看取ってくれたナースが「ネックレスや指輪は着けたまま送りました」と教えてくれたからである。
入院中でも必ず腕にしていた腕時計が、何故あるのか…
私はビックリした。

芝刈り中の夫に走りより、私はそれを見せた。
夫は「ここに隠して行ったんや…」と、しばらく呆然としていた。
私は知らなかったが、義母はロックダウン中に心筋梗塞をお越し入院、その時、横のベッドに入ってきた患者が感染者だと病院は知らずに大部屋に寝かせた。
そして義母は感染した。
心筋梗塞の手術は成功して帰宅。
帰宅して3日後に呼吸困難を訴え救急搬送され、そのまま帰らなかった。
この呼吸困難を起こす前の日、義母はうちの夫に「腕時計が動かない。電池交換したいけどロックダウン中やから無理かな…」と電話で話している。

翌日、自ら異変に気付き救急車を呼んだらしいが、どの段階で腕時計にプチプチを巻いて布袋に入れ、更に誰も見ることがない包装紙の間に入れていたのか…
もう自分はここに戻ることはないと分かって行ったのだと思う。
包装紙なら、よほどこの引き出しを整理整頓しなければ間からこぼれ落ちない、そう考えたのではないか…
私は4度ここを整頓していて、3年過ぎた今に発見した。
誕生日は朝から仕事、夕方は子供の空手教室、夕飯を食べさせ風呂に入れて私は9時過ぎにパックしたまま寝てしまい、娘に「布団入りや…下の戸締まりしとくから」と言われ誕生日終了。
翌日は余韻もなく引き出しの整理整頓。
別にやらんでも良かったが、何故がその日に気になった。

全く不思議である。
ちなみにセロテープばかり入れているところからは、グッチのサングラスが出てきた。
思わず、あのデカサングラスに腕を通さず肩からかけた白いジャケット、赤い口紅の義母の姿を思い出す。
帽子を前斜めに被ったらジュリーやで、ほんまに…
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