用事があり診療所へ行った。
30分ほど待たされている間、待合にあるTV画面に流れるニュースを見ていた。
そこに「今年、英国内における肥満の数が過去最大」と流れていた。
前にも同じニュースを見たような気がするが、毎年増加の一途をたどっているのではないのか・・
いや、前に見たのは12歳以下の子供の肥満やったか・・

「健康を維持するに困難な体重の患者に対し、医師の指導が及ばない」という内容であった。
また、何の病気かは知らないが女性患者の1人が「今の私の現状を軽減するには20㎏の減量を強いられているが、それは無理。私は体重を減らす事は自分では出来ない。しかし医師は減らさないと治療が改善に向かわないという。食事指導をされても効果など出ない。ならば医師はこの現状を治してくれるつもりはないのか」と怒っていた。
体重に問題のある患者に食事指導を行って来たが、それを本人が実行するのは事実上無理、しかし患者は医師が何とかせーよ、してくれよと思っている。医師は医師で食事制限の必要性を問う。しかし患者本人が実践できない、しないから平行線である。

それを見ながら私は、この問題は一生誰もが解決でけへんと思った。
そもそも、医師の範囲を超えており、無理であると思う。
ならば家庭教教育か?となるが、これも不可能に近い。

オーストラリアの小学校に勤めていた時、その当時から既にその学校では「肥満クラス」があった。
肥満とされた児童は他の生徒よりも体育の授業が多くあり、ランチの時間は肥満クラスの子だけが1つの教室にあつまり、まず先生の弁当箱チェックを受けてから食べるようになっていた。
中にポテトチップスや菓子類が入っていない事をチェックするのである。
その教室として日本語クラスの教室が使用されていた事もあり、私は昼ごはんをこの子達と食べる習慣が付いていたのであるが、弁当の中身は生の人参やトマト、茹でた豆やスイートコーンなどが入っており、非常にヘルシーになっていた。
しかしながら、担当の先生は「これはあくまで学校内で出来るごっこに過ぎない。家に帰れば自由な物が食べられる環境にある彼らの保護者を見たら、この取り組みが全く無意味な物である事がよく分かる。ただ健康的な食事とはどういう物かを知ってもらいたい、他者が出来る事はそれ以上は無い」と言った言葉が印象的であった。

肥満である事が不健康に繋がるのだと認識できるのは大人になってからの事。
子供は家庭環境を変える事は出来ないから、保護者が意識を持たねば子供は保護者と同じもの、または同様の食べ方をするしか他無い。
この子達がそのまま大人になり親になるという繰り返しがある以上、途中に医師が介入したとしても、何処で意識改革をするのか・・となると、よほどの事が本人に無い限り、本人の意思を強く持って立ち向かうのは難しいのではないかと、かつての肥満クラスにいた児童とその子達の保護者を見た時そう思った。

政府は肥満問題を抱えた患者に対する指導を医師に託す・・と言っていたが、こうなるとイギリスの食生活文化をぶっ壊さない限り不可能であると思う。
かつてジェイミーオリバーというシェフがイギリスの給食を改革する取り組みをしたが失敗に終わった。
ヘルシーなメニューに変更しても結果、児童が食べなかった。
この手のニュースを見るたびに、もうこれは医師や病院の出来る事ではなく、各個人の危機感に任せるしかないのかなと思うイギリス生活である。
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