私の英国生活のスタートは、マンチェスター空港から車で少し走った場所にある地域であった。当時はまだマンチェスターユナイテッドの選手が結構住んでおり、かつてはベッカム夫妻も住んでいた地域であるため、やたらに物価が高く、その存在が浮くほどに洒落たイタリアンレストランなどがあった。
そこに豊胸手術を受けた女らが選手を捕まえに夜な夜な集まっている、そんな金持ちとハイエナ女が集まる妙な場所でもあった。

たまたま夫の両親が住んでいたから、私はホームステイならぬ同居をお願いしたのであったが、暇だった私は友達作りのため近くの英語学校に通っていた。
その時、インド人が話す英語とスコットランド人が話す英語の聞き取りテストがあり、私は点数を落としてしまった事がある。
全く聞き取れなかったのと、聞いた事がない単語が飛び交い、会話内容の検討もつかないままであった。

先生から何がアカンかったかを聞いていた時、先生が「スコットランド人やアイルランド人など北の人らはYESをアイと言うから覚えておくように。ただアイは使わない方が良い。アイはあくまでハイクラスの英語ではないから、あなたはあくまでも英語としての正しい言い方を使いなさい」と言われたのを覚えている。

その1年後、私はカーライルに移住した。
国境地らしく、人によりアイとYES が入り混じる会話を初めて聞いた時、ああホンマにスコットランドに足を踏み入れた地域はアイを使うんやな、せやけど意味知ってるもんね…と内心思っていた。
英語学校の先生からは「使わないように」「ハイクラスの言い方ではない」と聞いていたから、私が当時勤めていたデパートの店員のおばちゃんらが「アイ」を客に使う事はエエのか?!と思った覚えがある。
しかし、それがどうやら普通の会話の中に存在する事が仕事をしながら生活しながら分かった事であった。

今は夏休みなので、スコットランドや各国からのお客様もいつも以上に多いが、袋はご入用かとレジで聞いた際、スコットランドやアイルランド人からは、ほぼアイで答えが返ってくるし、店長もイングランドの人間ではあるが、相手がスコットランド人の場合は「アイ」と返している事が多い。

最近思うが、あの時の英語学校の先生から教わった「アイは使わぬように」「ハイクラスではない言い方」は本当なのだろうか、単に方言でありクラスは関係あるのだろうか…と考えるようになった。

私もスコットランド英語の単語は丸暗記状態で、この単語を言われたらWideの意味やな、分かりませんの意味やな…などと頭の中で変換しながら意味を理解するようにしている。聞いた事が無い単語はすぐにスコットランド人のスタッフに聞き、暗記するようにしている。

アイの響きは実に味があり私は好きであるが、どうも日本人が言うと恰好が付かないような気がしてならない。
結局、今日も私は「YES」で暮らす。
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