義母の家の横に住む御主人は、いつ見ても愛車のベンツを真っ白な布で磨いている。
よく見かけるベンツとは違い、まっ黒で重厚感があり、運転手付きの著名人が乗っていそうな感じの、見るからに高そうなベンツである。
黒光りしたベンツは、ゆっくりの義母の家の前を通り過ぎ、いつも御主人は出かけて行く。

この車を愛し過ぎたオッサンには敵がいる。
野鳥である。
せっかく磨いたピカピカ過ぎる黒ベンツに、野鳥が糞を落として行く事が許せない。
車を置いている表玄関の庭は広く、木が何本か植わっているため、当然ここには野鳥が来るわけであるが、野鳥が飛び立つときに落とす糞が車に落ちる事が許せない。

そこでオッサンは野鳥を撃ち始めた。
時にそれは撃ち落されるため、義母の庭に怪我した鳩がうずくまっていた事もある。
オッサンは自分の裏庭に来る野鳥には餌を与えているが、表庭の車を汚す野鳥は撃ち落している。

実弾ではなく、土と化する弾を使っているため違法にはならないらしい。
が、近所から警察に何度も通報されているが、違法ではないため何ともならない。
ならば車にシートを被せたらどないや?という近所の提案は、オッサンが受け入れない。
オッサン曰く、「この黒光りしたベンツも相まっての外観」であるため、シートを被せるのは意に反しているらしい。

こうして車を愛し過ぎたオッサンは、今日も野鳥を撃ち落す。

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