旦那の仕事は小学校教員であるが、午前中は特別学級を教え、午後は特別学級の児童や問題児について、心理学者や専門家、市の職員や親と面談したり、今後の方針を決める会議を主な仕事とする。

ここ2年、ずっと携わってきた少年がいる。
彼がここに来たのは、4歳の時であった。

母親の男性依存から、入れ替わり立ち代り家には違う男性が暮らす。
男が目の前で母親の髪の毛を掴み、殴られなじられるのを日常茶飯事で見てきた少年。
それにすがる母親。

そうした生活が、少年を追い込み、暴力的かつ内気で、気分の変動が激しい性格になり、小学校を転々としてきた。
学習能力は普通にある。
しかし人の視線や言葉が、全て自分に向けられ、それが傷付く言葉として捉えてしまう少年は、クラスメイトや担任教師に何度も怪我を負わせてきた。

ここ2年、何人もの専門家、児童心理学者、精神科の診断とテストを受けたが、これといった明確な障害は持たない事が証明されている。
そのため、この少年を特別擁護学校には行かせられない。

生活環境と母親の性格に問題があるとして、家庭訪問や母親への指導を行うも、少年は改善されず。
学校の児童にも、怪我人が数人出ている事から、児童の父兄からは少年の退学か転校を要求されている。
こうして、この度、専門家と市の職員、児童心理学者の決定により、以下の事が決定されつつある。

それは、
①母親から引き離し、里親を探して子供を安定した環境で育てる。
②問題児が通う、全寮制の学校に入学させ、週末だけ母親に会わせる。
③受け入れてくれる小学校が見つかるまで、自宅で待機。

担任は発言権はあっても、決定権はない。
決定するのは、あくまで政府関係の専門家の担当だからである。

しかし少年を毎日見てきた担任としては、①の選択肢の場合、少年が里親になってくれた家族を逆恨みし、更に攻撃的かつ暴力的になり、心を塞ぐ可能性を懸念する。
少年は母親が大好きである。
大きくなって事情が理解できるまで、「こいつらが、俺とお母さんを引き離した」と思いかねないと、日頃の少年の受け取り方からして考えられる。

②の選択肢の場合、問題がある。それは、こういった問題児を全寮制で受け入れている学校は、基本、13歳からしかない。従って、今年6歳になる児童を過去に受け入れた事もなければ、受け入れる環境にもないため、可能性としては難しい。

③の場合、これまで少年は6つの学校を転々としている。早ければ、転校して3日で放り出されたケースも少なくない。そのため、英国全土のどこに、その受け入れ先があるかである。

この7月までに、決定されなければならない。

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