昼のニュースショー「大下容子のワイドスクランブル」で、90歳を過ぎた阿刀田高が最後の短編集で小説家の仕事を辞めることを知った。これまでに出版した短編が、いろいろと詰まっている本らしい。
私が就職した頃に放送が始まったNHKの音楽番組があった。もう40数年前の話だ。
NHK「音楽の広場」といって、8年続いた人気番組で、欠かさず見ていた。
あるときロシア民謡を扱った放送回でゲストが阿刀田高だった。ロシア民謡「トロイカ」の感動的な歌唱に対して感想を求められた阿刀田高が、歌唱を茶化した(からかった)感想を言うと、黒柳徹子が少し憤慨したような口調で反論したら、阿刀田高は少し焦って頭をポリポリした場面をいまだに覚えている。本人はウィットのつもりで口走ったに違いない。こんなことを思い出した。
アマゾンの商品説明を引く。
掌より愛をこめて―阿刀田高さいごの小説集―
わずか数枚の原稿が生む、大きな驚き。名手が放つ愛とたくらみの掌篇集。
銀座の地下から漕ぎ出す舟、異文化が生む愛の落とし穴、窓から見えるもう一人の私、幼い昔へと走る電車――アイデアとウィットと皮肉な筆致を武器に切れ味鋭い短篇を次々ものし、世に送り出した作品はじつに900以上。91歳、ついに迎えた創作人生の終わりに感謝をこめて読者に贈る「てのひらの小説」珠玉の36篇。
