「なしのつぶて」という言葉や意味はテレビで時代劇を見るとき、何度か聞いたことがあるが、漢字で「梨の礫」と書くとは知らなかった。小型国語辞典には立項されていないものもあった。

なしのつぶて【梨の礫】

便りを出しても先方からは音信のないこと。呼びかけても一向に応答のないこと。「つぶて」は小さな石のこと。「梨」を「無し」に掛け、音沙汰のない様子を、投げ小石のように行ったきり戻ってこない様子に喩えたもの。近世「なしのつぶてもない」の形で多く使われたので、その略と考えられる。

[例]「大名の弟御ぢゃと聞けばこそ、遠山の揚代のたまりも、便々だらりと待ってゐるに、今日まで梨の礫もないワ」(歌舞伎・東山殿劇場段幕・序)

 

(大辞林四版)
梨の礫
つぶて
〔「投げた小石のように帰ってこない」の意。「梨」は「無し」にかけたもの〕
返事のないこと。たよりのないこと。「いくら問い合わせても―だった」

(三現新七版)立項なし

(明鏡三版)立項なし

(岩国八版)語釈の用例として
なし【梨】
水分に富んだ球形の甘い実を食用にする落葉高木。また、その実。中国原産。初夏にやや紅色を帯びた白い花が咲く。実は黄色・茶色の皮に小さな斑点があり、品種が多い。「―のつぶて」(たよりを出しても返事がないこと。「梨」を「無し」に掛けて言う)
▽ばら科。発音が「無し」に通じるのを忌んで、その実を「ありのみ」と言うことがある。

(三国八版)
☆☆なし の つぶて[梨の(×礫)]⦅名⦆
こちらから たよりをしても返事がないこと。「問い合わせても―だ」
投げつけた つぶて 〔=小石〕が もどってこないことから。「梨」を「無し」にかけた。

(新選国語十版)
なしシ/0梨名
バラ科の落葉高木。四、五月ごろに、白色・五弁の花を開く。実
みは大きく水分が多く、甘い。(秋)
━の×礫
つぶて
梨なしを無しにかけておとさたのないこと。たよりのないこと。その後、とんと―だ