大湾節子さんの著書『幻の旅路』の
「第3章 1980年、第三回目の旅」
9月15日~11月25日 71日間 七ヶ国
イギリス→オランダ→フランス→スペイン→モナコ
→イタリア→ギリシャ→イタリア→モナコ→
フランス→オランダ→フランス→イギリス
の読後感を書き始めます。
本書からの引用はブログの引用機能を使って表記します。
なお、引用文中、(略)はブログ筆者による省略です。
私の読後感を大湾さんがご自身のブログ「『幻の旅路』大湾節子のブログ」に、カラー写真を添えて転載してくださいました。添えられた写真によって、ご著書のイメージが膨らみます。
大湾さんのブログはこちらです。
79頁
第3章の扉には、1枚の写真があります。1993.08.20 の日付と「ライン河畔の中世の町シュタイン・アム・ラインの木組みの家々」という題名が付いています。
「木組みの家々」とあるように、家の壁面が、まるで寄木細工よせぎざいくのように見えます。
この写真の風景は、前のブログの読後感(8)に書いた、NHK-BS Premium の「関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅」で見た風景にとてもよく似ていました。
80頁
ホテル探し
9月16日 ロンドン
この日の大湾さんは旅の初日であるにもかかわらず、土砂降りの雨の中、コロの付いていない極めて重いスーツケースを「引きずる」こともできずに右手に「持ち」ながら、左手で傘を差し、 1時間近くホテルを探す羽目になりました。本当に悲惨な旅の始まりとなったようです。
ビクトリア駅周辺は古ぼけて薄汚れたレンガ造りの建物がずらりと並んでいる。確かこの辺りのはずだ。駅から歩いてすぐだといっていたが一向に見あたらない。こんなとき、映画『メリー・ポピンズ』の主人公が持っていた空を飛べる傘があれば、ホテル探しもいとも簡単なのだが。
1週間前の4月20日、私はテレビ東京の洋画を放送する番組で『メリー・ポピンズ』を見ました。20代の頃、テレビで見て以来、30数年ぶりに観ました。ジュリー・アンドリュースは本当に素晴らしい女優さんでした。素晴らしい映画でした。
ロンドンの町は数百年前、町中にネズミが繁殖して沢山の人がコレラで死亡したと聞いている。(略)
案内された部屋は、狭い曲がりくねった階段を上がりきったところにある屋根裏部屋。(略)
ああ、それにしてもひどい所だ。(略)あれほど張り切って旅に出てきたのに、まさか初日からこんなところに泊まるとは思いもよらなかった。我ながら惨めで呆れてしまう。
私はこのお話を読んで、子どもの頃読んだ『ハーメルンの笛吹き男』という童話を思い出しました。ウィキペディアを参照しながら、この童話のあらすじを書いてみます。
(文責はブログ筆者)
--ここから
1284年、ハーメルンの町にはネズミが大繁殖し、人々を悩ましていた。ある日、町に笛を持った男が現れ、報酬をくれるならネズミを退治してみせると持ちかけた。ハーメルンの人々は男に報酬を約束した。男が笛を吹くと、町じゅうのネズミが男のところに集まってきた。男はそのままヴェーザー川に歩いてゆき、ネズミを残らず溺死させた。しかしネズミ退治が済むと、ハーメルンの人々は報酬を払わなかった。
笛吹き男がハーメルンの街に再び現れた。住民が教会にいる間に、笛吹き男が笛を鳴ら しながら通りを歩いていくと、家から子供たちが出てきて男のあとをついていった。130人の少年少女たちは笛吹き男の後に続いて町の外に出てゆき、笛吹き男も子供たちも、二度と戻ってこなかった。
--ここまで
おそらく大湾さんもこの童話を思い出されたのかもしれませんね。それでもその日の夕方には、アフリカから来た黒人の留学生に夕食をごちそうになったようですから、よかったですね。
81頁には「石畳が美しいストックホルムの旧市街地 1985.08.21」という写真があります。
石畳の両側には高い建物が屹立きつりつしています。
大学生のときに受講した「技術論」の授業で、西洋文明は住居によって人間生活と自然をはっきりと分離するが、縁側のある日本の木造家屋のように、東洋文明は人間生活に自然を取り入れた住居を作った、と教わりました。大湾さんの文章や写真によって、こんなことを思い出したのでした。
(つづく)
