大湾節子さんの著書『幻の旅路』の
「第2章 1979年、第二回目の旅」
9月3日~9月24日 22日間 五ヶ国(ツアー)
イタリア→オランダ→ベルギー→フランス→イギリス
の読後感の続きです。
本書からの引用はブログの引用機能を使って表記します。
なお、引用文中、(略)はブログ筆者による省略です。
71頁
大英博物館
世界には素晴らしく立派だが欲張りな博物館がいくつもあって、大英博物館もその一つだ。(略)博物館に毎日、一年か二年、まじめに通い続けたら、歴史、地理、分か、人文学、哲学、宗教学、考古学、建築学、鉱石学、政治学、それに科学と、一般の大学で習う以上の膨大な知識を詰め込めそうだ。
この文章を読んで思い出したことがあります。
大学に入学してすぐ、一般教養の授業で指定されたテキストをJR総武線の千葉駅ビル内にあったキディランド書店に買いに行きました。現在は千葉駅正面を出て左に曲がり、ショッピング街の片隅にある小さな店舗になってしまいましたが、当時は駅ビル本館の3階(4階だったかも)の半分以上を占める大型書店でした。高校生の時までは、地元には小さな書店しかなかったので、大学入学後、大型書店に感動して、授業が終わると毎日、電車で一駅のキディランド書店に通い詰めていました。
テキストは岩波新書(青版)の『歴史とは何か』( E・H・カー )と 岩波文庫の『西洋哲学史 上下』( シュベーグラー)でした。新書コーナーだけでも地元の書店一軒分くらいはあったと思いますので、この本を探してキョロキョロしていたら、30歳前後の男性店員が「何をお探しですか」と声をかけてくれました。書名を書いたメモを見せると、サッサッサーとすぐに見つけ出してくれました。その店員さんいわく、「岩波や講談社の文庫と新書の名著を読めば、大学教授以上の学識が身につくよ。カーの本もシュベーグラーの本も名著だよね。おそらく教養部の○○先生の授業のテキストでしょ(笑)」
うーむ、すごい。すごい。すごい・・・と、店員さんの博識に感動したことを鮮明に覚えています。
まさに読書は大英博物館のようなものだと思いました。
見終わってから、キャフェテリアに行く。(略)長い列ができていて中々座れない。列の最後についてぼーっと突っ立っていたら、私の後ろに驚くほど背の高い色白の男性が並んだ。(略)その男性が突然、バケーションですかと話しかけてきた。近くの会社に会計士として働いているが、退屈なので、昼休みは気分転換にここのキャフェテリアまで出てくるのだという。ロンドンにはどのくらい滞在するのか尋ねて、後三日だと答えると、何か書く物は持っていないか聞いてきた。旅の手帳を手渡すと、それにさらさらと自分の名前と電話番号を書き入れて「アパートはこれ。これで通じなかったらこちらの番号に電話をして下さい」と一方的に言ってきた。
何といいますか、欧米の男性というのは、女性を見ると声をかけるのでしょうか(苦笑)。
いや、大湾さんが魅力的だったのでしょう、きっと。
それにしても今日はなんだか変な日で、通りすがりの見知らぬ男性から二人も電話番号をもらった。
彼らは、女性の旅行者と見たらだれでも誘いに乗ると思ったのだろうか。それとも大都会のロンドンには、寂しい人が多いのだろうか。
やはり、大湾さんもそう思いましたか。それにしても、「寂しい人が多い」と断じた大湾さんの眼力、というか、洞察力はすごいなぁ、と感じ入りました。
(つづく)
