オノマトペの勉強をするために、次の本を私の購入希望リストに加えました。
『犬は「びよ」と鳴いていた―日本語は擬音語・擬態語が面白い』
(山口仲美/光文社新書)
今月は本を買いすぎてしまいましたので、購入はいつになるか、わかりません。
その代わりと言ってはなんですが、過日購入した『国語語源辞典』(山中襄太/校倉書房)で「犬」を調べてみることにしました。
山中襄太は(やまなかじょうた)、校倉書房は(あぜくらしょぼう)と読みます。
以下、段落改行はブログ筆者によります。
--ここから
いぬ【犬】 [考]大言海はワンワンという鳴き声にもとづくか という。たぶん wan < wanu > wenu (和名抄,恵奴) > enu (東北方言) > inu と転音したのであろう。
しかし犬はキャンキャンと鳴くこともある。キャンからもイヌと転音の可能性はある。すなわち,kyan > kyen > yen > en > enu > inu。イヌの漢字音 ken も,鳴き声キャンの擬声音であろう。
イヌを意味するギリシャ語 kuon (愛媛県大島の幼児語でイヌをグォングォン),kun- ,インドの古典 Veda にみえる [c]unah(ブログ筆者 注 [c]は c の下にひげが付いている文字),ラテン語 canis,イタリア語 cane,イスパニア語 can,ポルトガル語 c[a]o(ブログ筆者 注 [a]は a の上に - が付いている文字),犬小屋を意味する英語 kennel などの kun-,can-,ken- なども,キャンという鳴き声にもとづくであろう。
フランス語 chien,英語 hound,ドイツ語 Hund などは,それらの語韻の変化したものである。
インドのアッサムに住む Yachumi 族では ch[e]nu(ブログ筆者 注 [e]は e の上に - が付いた文字)というが,それは,フランス語 chien と似ている。シベリア,満州のツングース語方言では ina,inau,inai,inaki,inda,nenda などというのは,日本語イヌと似ている。トルコ語では it というが,これも音義ともに似ているといえる。
なお満州語 inhui(文語 indah[u]n(ブログ筆者 注 [u]は u の上に ^ の上下反転記号が付いた文字)),モーコ語 noxai,タタール語 et,カザフ語,ウズペク語 it,チベット語 khyi(中国語の狗,kow,kan,kew,ku を参考)など。
安田徳太郎氏はいう ─ マレーのサカイ族語 wan,マレーのマラッカ地方のマントラ族やインドネシア人は anjing という。ある説に,an- は接頭語で,もとは ing だったのではないかという。
首里,那覇,九州では,犬をインといい,犬神をイン神という。客家語ではカウ,カオ,ヴェトナム語ではチョー,コンチョーというと(「人間の歴史」4,pp.26~7)。
--ここまで
なんだか私の頭の中が整理されず、「この辞書、普通の辞書じゃない!」という不思議な感覚に陥りました。
そして、「この辞書の著者 山中襄太とは何者?」と思いました。
分野はまったく違いますが、博物学者 南方熊楠(みなかたくまぐす)を彷彿とさせるような言語学者だな、すごいな、と感心しました。
山中襄太については、明日のブログに書きます。
『犬は「びよ」と鳴いていた―日本語は擬音語・擬態語が面白い』
(山口仲美/光文社新書)
今月は本を買いすぎてしまいましたので、購入はいつになるか、わかりません。
その代わりと言ってはなんですが、過日購入した『国語語源辞典』(山中襄太/校倉書房)で「犬」を調べてみることにしました。
山中襄太は(やまなかじょうた)、校倉書房は(あぜくらしょぼう)と読みます。
以下、段落改行はブログ筆者によります。
--ここから
いぬ【犬】 [考]大言海はワンワンという鳴き声にもとづくか という。たぶん wan < wanu > wenu (和名抄,恵奴) > enu (東北方言) > inu と転音したのであろう。
しかし犬はキャンキャンと鳴くこともある。キャンからもイヌと転音の可能性はある。すなわち,kyan > kyen > yen > en > enu > inu。イヌの漢字音 ken も,鳴き声キャンの擬声音であろう。
イヌを意味するギリシャ語 kuon (愛媛県大島の幼児語でイヌをグォングォン),kun- ,インドの古典 Veda にみえる [c]unah(ブログ筆者 注 [c]は c の下にひげが付いている文字),ラテン語 canis,イタリア語 cane,イスパニア語 can,ポルトガル語 c[a]o(ブログ筆者 注 [a]は a の上に - が付いている文字),犬小屋を意味する英語 kennel などの kun-,can-,ken- なども,キャンという鳴き声にもとづくであろう。
フランス語 chien,英語 hound,ドイツ語 Hund などは,それらの語韻の変化したものである。
インドのアッサムに住む Yachumi 族では ch[e]nu(ブログ筆者 注 [e]は e の上に - が付いた文字)というが,それは,フランス語 chien と似ている。シベリア,満州のツングース語方言では ina,inau,inai,inaki,inda,nenda などというのは,日本語イヌと似ている。トルコ語では it というが,これも音義ともに似ているといえる。
なお満州語 inhui(文語 indah[u]n(ブログ筆者 注 [u]は u の上に ^ の上下反転記号が付いた文字)),モーコ語 noxai,タタール語 et,カザフ語,ウズペク語 it,チベット語 khyi(中国語の狗,kow,kan,kew,ku を参考)など。
安田徳太郎氏はいう ─ マレーのサカイ族語 wan,マレーのマラッカ地方のマントラ族やインドネシア人は anjing という。ある説に,an- は接頭語で,もとは ing だったのではないかという。
首里,那覇,九州では,犬をインといい,犬神をイン神という。客家語ではカウ,カオ,ヴェトナム語ではチョー,コンチョーというと(「人間の歴史」4,pp.26~7)。
--ここまで
なんだか私の頭の中が整理されず、「この辞書、普通の辞書じゃない!」という不思議な感覚に陥りました。
そして、「この辞書の著者 山中襄太とは何者?」と思いました。
分野はまったく違いますが、博物学者 南方熊楠(みなかたくまぐす)を彷彿とさせるような言語学者だな、すごいな、と感心しました。
山中襄太については、明日のブログに書きます。