私は、私も含めて日本人の学力面の劣化が顕著になってきたように考えています。
それは、1979年から2009年までの教職と2012年から現在までの塾講師の経験から、しみじみと感じてきたことです。
 2012年9月18日発行の塾の教室だよりに「和算事始」というタイトルで書いたことを要約します。
--ここから
 2012年8月の「算数講習会」の準備のため、応用問題選びをする過程で、「和算」について調べる必要が生じ、調べていくと、実にいろいろなことが分かってきました。
○ 江戸時代に、偉人(すぐれた能力、性格などを備え偉大な業績をなし遂げた人)と言われる日本人が輩出した背景には、和算の発展と普及があった。
○ 現在、和算は“算数パズル”のように考えられ、西洋数学よりも劣るものと思われがちだが、そんな軽いものではない。
○ 江戸時代、和算の発展は、様々な実学(商学・工学・医学など、習った知識や技術がそのまま社会生活に役立つような学問)の礎(基礎となる大事なもの)となった。
○ 和算の研究は、現在の子どもたちの学力や意欲の低迷問題を打開する秘策になる。
 私は、今、和算研究の入口に立ったところです。研究の成果をまとめて、10年以内に、本を出版したいと考えています。
--ここまで
 また、2012年11月3日発行の教室だよりには、「和算研究の構想・1ヵ月半のメモを公開」という記事を載せました。(下の画像)

和算研究の構想

 この記事の各マスを、1段目の左・中・右を(1)(2)(3)、2段目の左・中・右を(4)(5)(6)・・・・・・というように番号を振って、書き出してみましょう。
(1) 江戸幕府・朝廷の政治戦略としての和算 暦の普及(暦学・天文)と和算の関係
(2) 武士階級・神社仏閣・公家が学んだ和算 公的機関と和算の発展
(3) 江戸庶民の学びの場・寺子屋と和算 寺子屋での和算指導の内容と水準
(4) 算術から算学へ 江戸時代の和算発展に寄与した和算家の系譜(吉田光由・関孝和ほか)
(5) 算額奉納と遺題継承 算額奉納:解いた和算を絵馬に描いて神社仏閣に奉納する。/遺題継承:和算の難問代・新作を解く。
(6) 江戸庶民の実学としての和算 実学:習った知識・技術が社会生活に役立つ学問
(7) 測量と和算 日本最初の実地測量による日本地図を作成した伊能忠敬の業績と和算
(8) 和算 日本古来の数学。江戸時代に進歩したが明治時代に西洋数学が輸入され、急速に衰えた。
(9) 度量衡(長さ・体積・重さ)、商業の発展と珠算 算盤の普及とかけ算九九・九帰法(わり算九九)
(10) 和算家への道 算額奉納と遺題継承への挑戦(和算教材の自作)/塾講師として取り組む和算研究と生徒の指導への還元
(11) 和算と西洋算 和算の盛衰と西洋算(西洋数学)の台頭/和算の学術的水準を再検討する。
(12) 歴史小説で読む和算 冲方丁(うぶかたとう)著『天地明察』などの歴史小説を読み、江戸時代の和算周辺の諸事情や学術の境界を一体的に体感する。
(13) 旧漢字・旧仮名遣い・変体仮名の習得 和算関連資料の原典を読む。
(14) 学校教育と和算 算数・数学教育に息づく和算教育の現状と課題
(15) 和算教育と学力回復 学力消滅の危機回避/和算習得の教育効果

 研究を決意した2012年当時は上の(13)にあるとおり、旧漢字・旧仮名遣いを和算資料の原典を読むための技法として勉強しようと考えていたのですが、最近になって、次のような大きな疑問がわきあがってしまいました。

 学力の底辺には日本語があると考える。すると、和算を学んでいた江戸期から明治期の日本人と同じように和算を学ぶためには、現代人の頭脳を当時の日本人の頭脳に近づけないとだめではないか。そのためには、当時の日本人が使っていた日本語を学んだうえで和算研究をすべきではなかろうか。

 以上のような考えから、2014年に入り、手に入る様々な歴史的仮名遣いや昔の日本語に関する書籍を買い集めました。(後日ブログに掲載予定)

 なお、ここでいう学力とは、思考力・表現力・知識理解を活用する力などを含めた総合的知力とでもいうものをイメージしています。

 日本人の学力復活のため、このような方向で研究をしていってよいのかを問いたいのです。

私の教室だより等を掲載しているサイトのURLを書いておきます。

http://ja.scribd.com/wasansensei