元々あった築山が、年月と共に土が流れ山全体が痩せてきてしまっていること、こども達から「おしりの汚れない滑り台がほしい」との声があった事をうけ、2022年9月のワークで築山の斜面に滑り台をつくりました。滑ったり、登ったり、のんびり座ったり、食事をしたり…大人気のスポットです。

 

名前も初めは一般的な「すべり台」と呼んでいましたが、名前からついてくる従来型のイメージが、遊びや大人の関わり方を固定化してしまうということを研修で学び、まったく別の「イーベシター」という名前にしました。富士急ハイランドの「ええじゃないか」からヒントをもらい、どんな遊び方をしても”いいべした(山形弁:いいんじゃない)”の思いから、「イーベシター」となったのでした。

 

 

公園にある一般的なすべり台は材質が鉄で、怪我に直結してしまう危険性が高いものです。また、階段は均等な幅と高さになっているために、0・1歳のこどもでも登れてしまう構造になっており、登った先は大人の背丈ほどある高さから垂直落下を招いてしまう危険性があります。落ちた先がコンクリートの地面になっている…なんて公園が結構多く存在し、考えただけでもヒヤッとします(我が子も落ちたことがあり肝を冷やしたことを覚えています…)。

 

それに比べてとちの実のイーベシターは、材質は木で柔らかく、垂直落下の危険性もありません。また座面も十分な幅があるので、すべる子、のぼる子が混在してもそれほど大きな心配に至りません。そういう遊具そのものの安心が、こどもたちを見守る大人の安心(=心理的安全性)にもつながり、園庭でのくらしがより充実しているのを実感しています。

 

くるみさん(2歳児)がイーベシターで群れて遊ぶのを見守る、入職1年目の職員。

 

この状況を、公園の一般的なすべり台に当てはめて想像してみたらどうなるでしょう?

 

おそらく、階段を登るこどもが足を滑らせないかハラハラ、頂上部分で押し合いにならないかハラハラ、滑ってる途中に落下しないかハラハラ、と1人では対処できない状況になるのが想像できますね。でもこれは保育経験の長さに関係なく、誰が関わってもそうなってしまうと思います。構造がもたらすハラハラとも言えます。

 

そもそも公園の遊具は、親子が1対1で遊ぶものとする国土交通省の指針に基づいて作られているので、大人1人で複数のこども達をみるという保育園の形態での利用は向いていないものといえます。

 

このイーベシターは全く怪我の危険がないかといえば、そうではありません。垂直落下はないにせよ、タイヤ階段から転がってしまい四肢を擦りむいたり、たんこぶをつくってしまったり等はあるかもしれません。むしろその辺りの怪我はこども自身の危険回避能力を育てるために必要な”リスク”といえると思います。小さい怪我を経験して大きな怪我を防ぐ力をつける…とはよく言ったものです。

 

そのために、重篤な怪我につながってしまう”ハザード”を遊具や環境から取り除くからこそ、この入職1年目の職員であってもゆとりをもって、こども達を見守れるのだと思います。そしてそのゆとりは広くこども達を見守れる目となり、結果的にこども達の安心・安全の担保や危機察知・危険回避能力につながっていくのだと思います。

 

環境や遊具の安心 → 大人の心理的安全性 → こども達の安心・安全 → 能力(生きる力)の醸成

全てつながっているということなんですよね。