母が患っている脊髄小脳変性症(せきずいしょうのうへんせいしょう)

という難病についてシリーズ化して書いています。

この病気は治りません。

ゆっくりと運動機能障害がすすみ、動けなくなる病気です。


父と母は、この病気が発覚した時、私に

「話がある」

と座らせ、テーブルに二人とも私と対面に座りました。

こういったことは初めてでしたので、とても嫌な予感がしました。

今までは、父が叱るとき対面に座り、

母が私と父の両方を見るように横に座る形のみだったので

とても違和感がありました。

何か良くない知らせだなというのは、空気で感じました。


母は自ら、自分の侵された病気について私に説明しました。

いつも口を挟む父がひと言も話しませんでした。

「治らない、動けなくなる」

というのがショックでした。

「頭が真っ白になるってこういうことなんだ」と実感しました。


言葉も出ない私に、父が

「かわいそうにな」

とひと言だけ言いました。

母でなく、私を「かわいそうに」と言ったんです。


二人は私の知らないうちに病気のことを知り、

知らないうちに覚悟を決めていたのでした。

ですから、「これからどうしよう」という相談ではなく、

「こういうわけだから、よろしくね」という話でした。


「お母さん」は強いです。

もし自分の身に同じことが起こったら、こんなに冷静に説明できるだろうか?

子供の前だからこそ強くなれるんでしょうか?

私はまだ母親になったことがないのでわかりません。


当時の私にはこの言葉が気に入りませんでした。

「治らない病気」と、最初から決めてしまっているのが嫌でした。

頑張れば、何か見つければ、もしかしたら治るかもしれないじゃないか、

なんであきらめてしまうんだ、と思いました。