救急病棟での一夜を覚悟して、目を瞑って、オーディオブックの中に入っている
「反応しない練習」を聞きながら、うとうとしていると、
突然、
「今から病棟に移ってもらいます。」
とドクターの指示。
看護婦さんと一緒に、サンタ マリア ノーヴァ病院内の、
救急施設から病棟に移る。
前日の経緯は
綺麗な二人部屋で、私一人。
思いもかけずゆっくり休めそうである。
パジャマを持って来ていないことを伝えると、看護婦さんは使い捨てパジャマを渡してくれた。
主人が届けてくれた歯磨きセットで歯を磨き、軽く洗顔し
安心して眠りにつくことにした。
ところが、その後30分経ったかどうか?という頃、
隣にどなたかやって来た。
しばらくすると、看護婦さんの処置に対して
「痛い!もっと優しくしてよ!」という声が聞こえて来て、
救急病棟のご老人だと分かった。
この方、何かにつけて
「看護婦さん!看護婦さん!」
と大声を出す。
なので、しっかり眠るために、イヤーフォンをしっかりとしてオーディブルの続きを聴きながら眠ることにした。
翌朝は、中々陽気に始まった。
お掃除の人や食事担当者は、親日派が多く、
「私の友人は、日本のここに行ったけれど、知っている?」
「私の甥っ子は、大学で科学を学びに留学していて、コロナが始まる前に、戻って来たよ。」
とそれぞれが写真やFB投稿を見せてくれる。
一人は赤穂市、もう一人の大学生はつくば市だったので、筑波大だろう。
「優秀な甥っ子さんですね」
と言うと、
「そうなのよ!」
とシニョーラはにかっと、陽気な笑顔を浮かべる。
フィレンツェには、大学病院(カレッジ)もあり、そこを目指して入院する人もいる。
横に寝ていた老婦人も
「カレッジの看護婦さんはこうじゃない!」
と言ったり
他の部屋で昼食を食べている人からも
「カレッジの食事はもっと美味しい。」
と、
ここで働いている看護婦さんたちに同情したくなるような言葉が飛んでいた。
そんな暴言にも負けじと看護婦さんは
「ここは1288年に、フィレンツェで一番最初に作られた病院だよ。誰が建てたか知っている?」
と聞くと私のベッド横の老婦人は、頭を横に振る。
「フォルコ・ポルティナーリ。ベアトリーチェのお父さんだよ。」
と看護婦さんが言うと
「まぁ、あのダンテのベアトリーチェね!」
とここでもダンテ「神曲」の偉大さを感じる。
その後、黒人の親父さんもやって来て
「神様のご加護を!病気が早く回復しますように。」
と祈ってくれた。
こんな感じで、日本とは一風変わった雰囲気がイタリアの病院内には漂っている。
そしてドクターの診察。
状況を聞かれ
「痛みはひいているけれど、下腹部を押すと痛いです。」と
ドクターが触診する時に痛みの場所を告げる。
「君は昨晩の手術を拒否したね。」
と言われ、
「拒否したわけではなく、抗生物質治療で良くなるようだったら、できれば切らずにいたいと思った。
選んで良いと外科医たちに言われた。」
と答えると、
「この書類に手術を拒否したサインをして下さい。」
と言われる。
このドクターがイライラしていたので、なんだか怒られている気になり、
先程までの陽気な気分はいっきに消え去る。
その後ぐるぐると考えはめぐる。
切る必要があるならば、私は切る。でも抗生物質投与で治るのであれば?と悩んだが、再発することも多いという。
やっぱり切るべきなのかなぁ?
と血液検査の結果を待つ。
外科のドクターが来た時には、
「手術の必要があれば、手術するけれど、どんな感じでしょうか?」
と尋ねると
「手術する可能性の方が強いと思う。」
と。
ここで、
「もう仕方ないね。再発は嫌だし。と心を決める。
今回の入院で、イタリアでの入院体験は4回目。
最初の3回は妊娠時と出産時の時で、他の病院だった。
コロナ禍のもと、
主人の付き添いなしで、たった一人きりというのは今回初めて。
そして初めての全身麻酔。(長女出産の時は、帝王切開だったの下半身麻酔は体験済み。)
昔よりイタリア語もできるし、昨日今日と、ありがたいことばかりだったけれど、
やっぱり心細くなる。
手術を待つ間、
もっと大変な手術を受けていた友人知人のことが思い浮かんでくる。
皆、コロナでたった一人きりで手術台に向かい、この心細さを乗り越えたんだ。
命に別条のない虫垂炎ぐらいで、へこんでどうする!
と自分を叱咤激励する。
お昼前と言われていた手術は、緊急手術が何件か入り、
私の番は17時になってから、オペ室への移動となった。
長くなったので、今日はひとまずここで終了。
つづきは明日へ!
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リングとしてもお使いいただけます。
今日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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