自分のラインVersiColori のできあがった鋳造品を受け取りに行き、
午後からIDRUS 勤務、
という密度の濃い一日の合間にSan Tea Houseで、日本人の彫金職人さんとお話をする。
彫金職人と言ってもフィレンツェには、
石留めの職人、西洋彫りの職人、七宝の職人、打ち出しの職人
と分類すれば様々なカテゴリーに分けられる。
もちろん、全てを一手にする職人さんや工房もあるけれど、
恐らく分業で仕事を終えていくやり方が多いのではないかと思う。
今日おしゃべりした方は、七宝の職人さんだった。
今日のお話の中で、感じ入った言葉は、
「お客様を啓蒙していくことも大切ですよね。」
という彼女の一言。
びっくりするくらいの金額がついている物は、職人の技術と、労力の賜物だから、その額になるのであり、
例えば西洋彫りで言うと、
全て完全で均等である機械で作られたものでは、出せない、丸みを帯びた線の部分の浅さや深さ、
そういうものを
良い!
と分かってもらえる目をお客様に持ってもらうために仕事をすべきだ。
彼女の言葉はそういうことを表していた。
ああ、すごいなぁ!
と思った。
私はいつまでたっても、
もっとがんばらなくては!
もっと良いものを作らなくては!
その思いばかりが先行してしまう。
彼女のような言葉を吐けるようになるまでには、後どれくらい年月を要するのだろうか?
しかし、この言葉にガツンとやられた私は、
やはり自分の在り方というものを改めて考えるきっかけとなった。
展開型の私は、一歩一歩進んで行くことで、次の景色が見えてきて、
それを繰り返すことで、
今いる場所までたどり着いた。
ここへ来て、本当はどうありたいのかということを明確にする時がやって来た気がする。
朝目覚めたベットの中でのしじまや
フィレンツェの石畳を自転車でビュンビュン飛ばしている時に
そういうことをぼんやりと考えていることがある。
私は好きなことを仕事にして満足だけれど、
この仕事で世の中をどういう具合に良くしていくことができるのだろうか?
なんだか大きすぎるテーマのような気もするが、
今までみたいに、ただただ美しいものを追い求めるだけでは、物足りなくなって来たというのも事実である。
そういう自分の気持ちの変化も面白く、
この思いを真剣に突き詰めていけば、もっともっと違う世界に向かっていけるのかもしれない。
人との会話の中には、宝石以上に価値のある言葉が隠されている。
タピオカ入り抹茶ミルクをいただきながら、心がふるえるのを感じたひと時だった。
今日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
「初三茶屋」San Tea House /サン・ティー・ハウス
住所: Via De’ Barbadori 21R, Firenze
営業時間:火〜土 12:00~19:30、日 14:00〜19:30
定休日:月曜日(旧正月の前後4日間、8月中旬の約1週間、クリスマス~年明けの10日間は休業 )




