大宮BL小説です。

閲覧ご注意ください。























俺は、どうにもこうにも悔しくて…


ズルズル…と、ソファに横になった。



「…ごめん」

「悪かった」



智の声が響く。


俺はきゅ…とクッションを抱いて…

背中を丸めた。




「かず」

「見て?」



悔しいから一回は無視したんだけど。

でもなんかで何度も顔をなぞるから…


それがうっとうしくて、俺はクッションから顔を上げた。



「…健康第一…」



長細い紙に…

智の美しい文字がみえる。



俺をくすぐっていたのは、短冊。


智は俺の顔を見て、言った。



「かず、今日、七夕だからさ…」


「一緒に短冊…書こ?」












「かずが、浮気しませんように…」



智は願い事を声に出しながら書いていく。

俺は呆れつつ言った。



「おまえ、まだんなわけわかんねーこと言ってんのかよ」



「訳わかんなくねーし」



「わけわかんねーわ」


「…じゃ俺だって書いてやる!

“智が浮気しませんように…”」



俺の短冊を見て…

智は豪快に笑った。



「するわけねーじゃん!」



「んなのわかんねーだろっ!?」



「てか俺家から出ねーのに…」

「どうやって浮気すんだよ?」



「ほら、絵売りにいくときさ!出会うじゃん、いろんな人とっ!」


「てかそれこそ…」

「お世話になってる画廊のオーナーさん!」


「智の才能買ってんだからさ?」

「ある種智に惚れてるみたいなもんじゃん!!」



未亡人だって言ってたし…

結婚するために市役所にくるカップルばっか相手にしてる俺なんかより、よっぽど…!!



「あー…」

「まぁ?」

「確かに未亡人、ではあるけどな…」



「だろっ!?」



「御年88歳のな」



「…」



「あ、そうそう」

「来月米寿のパーティーすんだって」

「かず連れてこいってうるせーから」

「予定しといて」



「…」



「で…」

「俺が、誰と、浮気するって?」



ヴ〜と、腹の底から唸り声をあげる俺を…

智は爆笑しながら抱き寄せる。



俺達は次々と短冊をしたためた。