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「申請したけど承認されないな…」などの
お心あたりのある方のみご覧くださいませー♪
ではでは、続きをどうぞ…
大宮BL小説です。
懐かしそうにそう呟いた大野さんに、キーホルダーを返す。
大野さんの元に帰ったキーホルダーは…
シャラン…と、嬉しそうに。
さっきよりずっと高い音を立てた。
「父ちゃんが仕事する姿」
「俺、ずっとカッコいいと思ってたから…」
「父ちゃんと並んで、いっちょ前に」
「革細工させてもらえてさ」
「ホントに、本当に…」
「嬉しかったんだよな…」
「縫い目は荒ぇし」
「重なりはずれてっし」
「そりゃもうひでぇもんなんだけど…」
「でも、それでもさ、これは…」
「俺にとって、たった一つ」
「替えの効かねーもんだからさ…」
「…」
「なんか、あんな風に…」
「…いや、そんなつもりねぇってわかってんだけど」
「それでもさ…」
「古い、汚ねーのはダメで」
「新しくて綺麗なのがいいみたいな…」
「そういう価値観…」
「押し付けられたくなかった、てか…」
「あの日の俺の、キラキラした思いが…」
「いらねーもんだって、言われたような…」
「そんな気に、なっちまったんだよな…」
大野さんの細い指先が、キーホルダーをなぞる。
優しく、愛おしそうに。
キーホルダーに落とす視線も。
その思い出を語る声も。
全てが優しく、温かい。
大野さんはきっと…
大切な人を、こんなふうに大切にするんだろうな…
不意にそんなことを考えている自分に驚く。
幼い自分自身を優しく見つめる、ピュアな大野さんを前にして…
こんな、邪な思いを抱く自分が恥ずかしい。
僕は思わず下を向いた。
「…で、思わずあんな…」
「あんなジジイみたいな説教垂れてさ」
「ふと我に返ったらめっちゃ恥ずくなってきて」
「…謝りもせずそそくさ逃げちまった」
「ガチでカッコ悪ぃよな」
「…ホント、ごめん」
ガサ…と乱暴にポッケにそれをしまった大野さんは…
またタバコに火をつけた。
「…謝らないでください」
僕は言った。
「大野さんの言葉…」
「嬉しかったです」
「…」
「あの絵本はね?」
「実は…」
「亡くなった母が、僕にくれた…」
「誕生日プレゼント、なんです」
