蓮さん主催のお祭りに参加しています♪


もはや私の生きがいですらある大宮 💙💛

そんなニコイチな二人生まれた記念日である本日より4日間…💙💛

ちょっとした小話をお届けしますウインク


ザ・年末なお話にぜひぜひお付き合いください🙏


今回のお話は1話がかなりボリューミーです滝汗

読みづらかったらすみません…泣くうさぎ



ではでは、いってらっしゃいませ…照れ









大宮BL小説です。

閲覧ご注意ください。







「Prince of stock storage」





side n




「ちょっとお兄さん、こっちまだなんだけどっ!」
「早くしてよ!」


師走の気忙しさが…
人をそうさせるのだろう。

百貨店で贈答品をお求めとは思えないほど…
お客様の語尾も険しく感じる。


でも僕は、プロの販売員だから…
自分の気持ちは押し込めて、笑顔で言った。


「大変申し訳ございません」
「順番にお伺いいたしますので、今しばらくお待ちください」


ここは…
日本で有数の百貨店のデパ地下。
僕はそのデパ地下の洋菓子部門で働いている。

僕の担当ブースは老舗の焼き菓子専門店。

生菓子がない代わりに…
日持ちするので、贈答用に求められる方が圧倒的に多い。
贈答用、ということは。
熨斗のご用命からパッケージングまで…
全てを丁寧かつスピーディーに行わなくてはならない。

人気の店だけに、お客様も多い。
承ってからお渡しまでに時間を要すると…
それはもうブースが大混雑となり。
他のブースにも迷惑がかかってしまう。

だからここのブースは、本人の包装の技術・接客能力の高さはもちろんのこと、パートさん達をうまく捌き、状況に応じて休憩時間を決めたり応援要請したりと、全体を見渡せる目を持った、力のあるベテラン社員が受け持つことになっている。

そんなブースに…
前月からから移動になった僕。
まだ入社5年目でのこの移動はまさに大抜擢だった。

上の人達の期待に応えたい。
「二宮になんか無理だろ」って鼻で笑った先輩達を見返したい。
僕は躍起になっていた。



が…

あきらかに自分達より経験の浅い僕の言うことなんか、パートさん達は簡単には聞いてくれないし…
ブースも僕の予想の遥か上をいく忙しさ。
毎日毎日お客様を捌くことで精一杯で…
最終最後にはパートさん達に
「はい、にのちゃん休憩行ってきて!」
なんて言われる始末…

あれだけ自信のあったパッケージングも、接客も…
ここのブースのパートさん達には到底敵わない。
僕はすっかり落ち込んでいた。


そんな中迎えた年末。
日を追うごとに桁違いに増えていく客足。
いろんな修羅場を越えてきたベテランパートさん達ですら
「今年は過去一だわ…」と小さく呟くほどに、ブースは混雑を極めた。

笑顔を貼り付け必死で包装紙と戦う。
でも僕らの戦いが虚しくなるほどに…
お客様は増殖していく。
僕は休憩はおろか…
トイレに行く暇もないほど、必死に働いた。



「ちょっとあなた、この一番大きいお箱、10個ご用意してくださる?」


こともな気に告げられた数にゲンナリしつつ…
そんなことはお首にも出さず笑顔で
「かしこまりました」
「ありがとうございます」
と頭を下げる。

僕は熨斗の表書きや名入れなど必要事項の確認をしながら…
どでかい箱をストック庫から出していく。


あ…よかった…
ギリギリセーフ。

一つ小さいサイズのやつだと9個しかなかったから…
倉庫まで走らなきゃなんなかった…


丁度10個のストックに感謝しつつ…
僕は自分にできる最大限のスピードで、10個の包装を終えた。

一番大きい紙袋4つ分。
こりゃかなりの嵩だ。
僕はパートさんにぶつかりつつ…
狭いブース内をなんとかすり抜けて…
お客様のところまで持って行った。

「大変長らくお待たせしました!」



すると…
その、馬鹿でかい紙袋を見た、お金持ち風マダムは、眉を顰めた。

「…いやだ、なにこれ」
「こんなの持てないわ」

「こんなに嵩張るなら言って欲しかったわ」
「もうワンサイズ小さいのに変えてくださる?」


「…え」


思わず声がでた。


「全て、でございますか?」

「ええ、もちろん」


うそでしょ…?

僕は山のような荷物を抱えたまま、立ち尽くした。

ワンサイズ下げたところで荷物の大きさに大差はない。
結局山のような荷物になる。

それを念の為…
丁重に、伝えたのだけれど…


「そちらよりは幾分マシでしょ?」

「いいから早くしてちょうだい」


そう言い放たれる。


僕は「…かしこまりました」と呟いて。

山ほどの荷物を抱えてまた…
ブース内に入った。


ああ…
そうだった…
ワンサイズ小さいやつ、ストック足りないじゃん…


「お客様、大変申し訳ございませんが、お品物をご用意致しますので少々お待ちくださいませ」


感情を無にして、お決まりの言葉を吐く。


「え、まだ待つの?」
「いい加減にしてちょうだい」


ご婦人の美しく整えられた眉が、不自然に上がった。


「大変申し訳ございません」

「早くしてよ!」

「今すぐ…今すぐ、お持ちします」


一礼してストック庫へ走る。


「まったく…」
「一体いつまで待たせるのかしら」


背中に言葉の矢が刺さる。
僕はもう笑えなくなっていた。