また智さんの家にお泊まりした。
昨夜もかなり遅くまで愛し合ったから…
さすがに朝は、起きれなくて。
お昼近くまで智さんの布団に包まれていた。
僕はお休みだけど…
智さんはお仕事がある。
「…ゆっくり寝てろ」
カーテンから朝の光が漏れる頃。
僕のおでこに優しくキスを落として…
愛しい人は布団から出ていった。
やっと目覚めた僕は、そっと工場に繋がるガラス戸を開けた。
「…起きたか」
すぐに気配に気づいた智さんから声をかけられて…
何だか気恥ずかしくてはにかんだ。
「…渡したいものがある」
不意にそんなことを言われて…
寝起きの僕はキョトン、とした。
僕とガラス戸の間をすり抜けて…
智さんの姿が消える。
え…
なんだろう、渡したいものって…
僕の視線の中に再び智さんが現れる。
…手には花。
白い薔薇。
透明なセロファン紙に巻かれただけの…
簡素なラッピング。
でもそのことをけっして卑下することなく…
むしろ何も纏わずとも凛とした強さと美しさを備えた一輪一輪が、まっすぐにこちらを見つめている。
「朝早かったから…」
「花屋、じーさんしかいなくてさ…」
「ラッピング、っての?」
「してもらえんかったから…」
「なんつーか、その…」
「洒落っ気、ゼロなんだけどな?」
「…おまえのあの…」
「折り紙の薔薇」
「あれをさ、みてたら…」
「俺もおまえに…」
「ちゃんと思いを伝えたくなった」
…え…
もしかして…
「『ダーズン・ローズ』」
「12本の薔薇が持つ…」
「特別な、意味」
