大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
「…離して…」
菊池が去ってから…
僕は智さんに小さく訴えたけど。
智さんは「嫌だ」と言って、離してはくれなかった。
「…笑ったくせに」
「…ん?」
「散々バカにして笑ったくせに」
胸の中で文句を吐く。
すると智さんは「悪かった」と小さく言った後…
「でもバカにしたんじゃねぇ」
「…めちゃくちゃホッとした」
「ただそれだけだ」
そう言って…
もう一度、僕をぎゅっと抱き寄せた。
なんでも…
ここのところの智さんの不調は、このハロウィンの仮装が大きく影響していた…とのことだった。
「おまえ、去年の仮装、覚えてっか?」
コクリと頷くと…
「あれ、マジでヤバくて」
「破壊力えぐくて」
「まともに凝視できなかった」
そんな大袈裟な…って言ったんだけど。
「おまえはなんもわかってない」
そう言って、被りものの上から小突かれた。
「案の定…」
「終わった後もすげぇ噂になってて」
「商店街の定例集会はおまえの話で持ちきり」
「10代のガキからご隠居さんまで、口を揃えておまえのこと、“かわいい”“かわいい”いいやがって…」
「ずっとおまえが気になってた俺は…」
「デレデレそんなこと言いやがる奴らがすげぇ嫌で」
「全員八つ裂きにしてやろうかと、ガチで思った」
ギラっと智さんの瞳が光るのが見えた。
ドラキュラの格好をしてるから余計に怖い。
智さんの本気が伝わってきて…
嬉しいけど怖くて、僕はきゅ…と抱きついた。
「おまえと付き合うようになってからも…」
「ずっとハロウィンのことは引っかかってて…」
「着ないでくれっていいたいけど」
「仕事頑張ってんの知ってっから」
「いちいち口挟みたくねぇし」
「でもあん時みてーにキラキラされたら」
「俺、マジで…」
「おまえを見てるやつ全員ぶん殴って回りそうで」
「ホントにずっと…」
「気持ちを持て余してた…」