大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
えんえん…
泣かせたってこと?
泣くくらい怖い仮装…?
するとその子と手を繋いでいた大きい組の女の子が遮るように口を挟む。
「怖くないよ!」
「すんごく、すんごく、かっこよかった!!」
ねー!!!なんて、周りの女の子達と声を合わせる。
「そうそう、かっこよかった!ドラキュラ」
「黒いマントでねー、牙もついてて…」
身振り手振りで教えてくれる子ども達。
そうか…
智さんはドラキュラになったんだ…
「せんせー、えんえん、ちないでね?」
エプロンを掴んだままの女の子の言葉に
「大丈夫だよ」と答える。
智さんは怖くなんかない。
誰よりも優しい人で…
僕を泣かせたりなんか…
しないはずだ…
「だーいじょーぶ!」
「魔女の菊池先生がちゃーんとカボチャさんは守りまーす!!」
そんな菊池の冗談?に…
「えー」とか「ホントにー」とか「たよりないー」なんて言葉が飛んでいる。
僕は、子ども達の声を聞きながら…
「大丈夫」と、何度も呪文みたいに唱えた。
ファーストインパクトは予想通り。
いや、それ以上だった。
智さんは僕の姿を見て…
牙のついた口をぽかーんと開けて。
「…カボチャ」
ひとこと。
それだけ呟いた。
僕から目を逸らさない。
あまりにも呆然としたままだから…
おどける事もできなくて。
僕も「…はい…」と言ったまま、立ち尽くした。
「…あ、いや、ねー、カボチャ」
「かわいいッスよね!」
「…カボチャ…」
「そうそう♡かわいいじゃないっスか、カボチャ♡♡」
「ねー、二宮先生かわいいよねー♡」
「二宮先生はなに着てもかわいいねー♡」
小さな子ども達に賛同を求める菊池の声が虚しい。
「てかそんなことより!」
「トリックアトリート!」
「お菓子くれなきゃいたずらしちゃうぞー!?」
菊池の空元気な声が、更なる虚しさを呼ぶ。
なんの反応もない智さんに、視界がぼやける。
まさにドン引き。
それじゃなくても遠ざかる気持ちが、地の果てまでも遠くに飛んでいくようで苦しい。
こんな顔…
見たくなかった…