大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
ドン、ドン、と…
続けざまに叩く。
あなたの心の中に…
僕を。
僕だけを。
どうか、入れてください。
あなたの歪を知りたい。
僕の歪を知ってほしい。
あなたとなら…
あなたと僕と、二人なら。
歪が、歪じゃなくなるはずだから。
智さんの心を、強くノックする。
入りたいという意思表示を、僕は繰り返した。
ガチャ、と…
ドアの開く音がして…
僕らの隔たりはなくなった。
座ったまんまの智さんと視線がぶつかる。
その瞳の奥の、深い青に…
僕は真っ直ぐ、言葉を投げた。
「僕は」
「あなたが好きです…!!」
「あなたの短冊に書かれた…」
「あめのひ、が…」
「他の人との、他の雨の日のことを言っていたとしても」
「それでも僕はあなたが…!!」
ぐい、と手を引かれる。
そのまま…
僕は智さんの胸に、落ちた。
「…他なんか…」
「あるわけねーだろ」
「おまえと過ごしたあの日」
「あの、雨の日しか…」
「七夕に願うことなんか、ねぇ」
そう言った、智さんの声は…
あの日の雨音の中ならきっと。
僕の耳には届かないほどに…
小さく、甘く…
僕の鼓膜を、くすぐった。
ぽつ…と。
僕の背中に、何かが乗った。
ぽつ、ぽつ、と…
僕の身体のいろんなところに舞い降りるそれは…
「…雨、だ…」
智さんの胸の中から、空を見上げる。
神様が…
こんなに早く。
智さんの願いを叶えてくれたんだ…
不意にバサッと…
大きなタオルが降ってくる。
ちょうど…
この車の助手席に乗った、あの日みたいに。
「…被っとけ」
「濡れるから」
智さんはそう言った。
…はずなのに。
何故だかすぐに、タオルが捲られる。
大きな影が…
上から、ゆっくりと、振ってきた。
あ…
これも。
あの日と同じだ…
僕は目を閉じた。
でも、智さんの唇は…
あの日よりずっと、優しく甘かった。