それを愛とは呼ばず/桜木 紫乃
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・・・そうかなぁ、愛じゃないかなぁ。

「愛しみ」を「かなしみ」とルビがふってあるし、やはり

言葉にできないとても大きなくくりでは、「愛」じゃない

かなぁ、と読み終わった直後に思った私です。





(あらすじ・帯より)

「いざわコーポレーション」の副社長、伊澤亮介。社長で

ある10歳年上の妻・章子が誕生日の夜、不慮の事故で

昏睡状態に陥る。社内に妻以外に人脈をもたぬ亮介は、

孤立。

新潟を追われ、逃げるように東京へ向かう。

北海道のリゾートマンション営業という新たな職を得た夜、

銀座のグランドキャバレーで亮介は白川紗希と出会う。

その日紗希は、10年所属したタレント事務所からクビを

宣告されていた。

北海道で、廃墟のようなリゾートマンションを前に茫然と

する亮介。そして亮介を追い、紗希がやってくるのだが―





2人ともにがらんどうだ。

芯から頼っていた妻や職業を失って、彼らの心を満たすもの

はなくなっている。

そこで、北海道の、しかも廃墟のようなマンション。

そんな現実離れした場所では、こんなからっぽの2人ならば

どんなことも起きそう。




でも、いつもの桜木作品のような、男女の深い関係はみられ

ない。

肉体関係がみられないだけで、その他の深い関係は小木田

と春奈という存在によって作られるのだけれども。

これまた、北海道の辺鄙なリゾートマンションという場所に

よって現実離れしていく。




だが、紗希はその場面を心のよりどころとし、日々を過ごして

いく。

そして亮介と再会するのだが―




そこでの紗希の心はどうだったのか。

「ささやかな幸福」の中にいる人を、そこに閉じ込める。

人を幸せにするって、そういうことではなかったと思うのだけ

れど、小木田と春奈という強烈な存在によって、そのように

思ってしまったのだろうか。





紗希という蜘蛛の巣にからめとられた亮介は、幸せだったの

だろうか。



桜木氏の文章には、あまりにも多くの事柄がありすぎて、今

の私にはうまく消化できなさすぎ。



文庫で持って常に見ていたい気がするが、内容が内容な

だけに気分によるし。



いろいろと考えさせられる小説だった。


でも、いつものように暗い調子で進んでいく話ではありませんよ~




★★★☆