- 屋根屋/村田 喜代子

- ¥1,728
- Amazon.co.jp
表紙のシャガールの不穏な絵。これにも惹かれましたが、書評を
見て気になっていました。
「ゆうじょこう」以来のこの作者さん2作目です。
なんとも不思議な話。
40代の主婦であるみのりは、雨漏りを修理してもらった「屋根屋」
永瀬により屋根への興味を募らせる。
そんなとき、永瀬から夢の世界へ誘われ、永瀬に先導される形で
東経寺の屋根に夢の世界で登る。
そして夢を見る訓練をして、フランスの聖堂をめぐる旅に「夢の中」
で出発する・・・
永瀬は妻を亡くしていて、瓦職人という特殊な職業についている。
屋根修繕の仕事で独立する前は、寺社の瓦を修繕する仕事をして
いたが、その屋根の上で孤独をかみしめる。
妻を亡くして、寺の屋根から飛び降りそうになった永瀬は治療を受けて
夢日記をつけることになり、夢を自在にあやつれるようになるのだが。
みのりも後に感じていくし、結末もそうなのかもしれないが、永瀬は
夢にとらわれたのではないだろうか。
寺の屋根の上というところで、西方浄土を見てしまったり、聖堂の上で
天国を見てしまったりして、夢の世界と現実に境がなくなってしまったの
ではないだろうか。
そして、彼自身それを望んでいたのではないだろうか・・・
と、私には思えた。
偶然同じような感性を持つみのりと出会い、最初は夢行の相棒だった
のが艶っぽくなっていったのはわかるような気がする。
そのような感性の相棒はなかなか出会えないだろうし。
東経寺で出てきた火の玉も、聖堂あたりではいなくなっていたことからも
永瀬の心に疚しさや妻の存在がなくなっていたことを表しているように
思えた。
筑紫国の瓦大工は永瀬なのか?
だとしたら、「コノ想ヒハ 届カズ 御身コソ塔ナリ 美シキ遥カナ塔ナリ」
という組み木に刻み付けられた一文はみのりへのラブレターだったのか。
日本の寺の屋根が西方浄土を目指して飛んでいくように・・・というのは
面白い解釈だと。
そして西洋の聖堂は傾斜が酷くて人はいられない。それは天国に向かって
いるからなのか。
一角の鬼のガーゴイルが吐いているように見えると
いう描写は、笑って
しまった(^∇^)
以前からあの西洋の建物群にある、天使や獣が口から水を出している
彫刻はおかしくてたまらなかったのですよね・・・・
醍醐寺や法隆寺、とにかく次に寺社見学に行くときは屋根に目が
行ってしまいそうになるだろうなぁ。
いや、面白かった。
自分の年齢も相まって、こういう小説が好きだ。
★★★★★