♦個人的な記録ですが、長文なので ご興味があるかたは お時間ゆっくりな時にどうぞ。怖い話が苦手なかたはスルーしてください。♦
その日の夜 私は母と一緒に 地元のお風呂屋さんに行った。
今までにも何度か足を運んだことがある、まあ馴れている銭湯だ。
たしか以前にも書いた気がするけど、母も私も霊感がある。
簡単に書くと、私自身の体験としては今までに 幽体離脱、直感、夢、ハッキリした霊を見ることが三度ほど。
母の場合は、ポルターガイスト現象、直感、夢、同じく霊をハッキリと見ることが子どもの頃から何度かある。
母は子どもの頃から霊的なことを体験しているが、私は霊をハッキリ見出したのは大人になってからだ。
電化製品に不具合が起こることは、二人ともよくある。
例えば、今回のこの銭湯では、今までにドライヤーが 二人同時に突然動かなくなったことが何回かあった(コードも差し込んであるし ブレーカーが落ちたわけでもなく、他のお客さんのドライヤーは正常に作動している)。
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前置きはそれくらいにして、本題にいこう。
この日銭湯には夜10時過ぎに着いた。
受付でレンタルのタオルセットを受け取り、水分補給してから、更衣室へ向かう。
私が先頭で歩いていて全く気づかなかったけど、母はその途中で 床のタイルに足を強く打ったと、後から聞いた。今までここで そんな事は一度もなかったのに、何故か足の指が爪が割れたかと思うほどの激痛が一瞬走ったと。
後で改めて確認したら、幸い爪は異常なかった。
今思えば、それは“行くな”という無意識からのサインだったのかもしれない。
更衣室に入り、自分のロッカー番号のある通路に入る。あまり広くはない通路を挟んで両側にロッカーがずらっと並んでいる。
最初に見渡した時、一人女性が立って荷物を整理していた。他には誰も居なかった。その人の真横のロッカーを母が使い、その反対側、斜め後ろのロッカーが私が使う場所に。
ほどなくもう一人女性が来て、私と同じ並びの更に奥の方のロッカーを使用し始めた。壁際に近い所だ。
ふと、左に視線を向ける。
その今来たばかりの女性が立っている真後ろに、黒っぽい人影がしゃがみこんでいるのが見えた。近づくと、焦げ茶色っぽい薄手の長袖シャツを来ている。下は、クリーム色のパンツ。
ここに来たばかりで、これから入るのか?、
それとも入浴を済ませて休憩しているのか?
髪の毛は暗めの茶髪で肩ぐらいの長さ。髪は濡れている様子はない。
それで、じっと正座している。
首は何故か 上方を向いている。
何か、妙な感じがした…
手早く荷物を片付けて、風呂へ向かった。
後から聞くと母もその人が気になっていたようだが、その時はまあお互い何も言わなかった。
風呂を済ませて更衣室へ向かう。ざっと一時間は経っていた。
…遠目からでも、黒っぽい人影が見えた。
まだいる。
同じ格好
同じポーズで。
さすがにちょっと気になってチラッと様子を見る。瞬間、女性の虚ろな目、目の焦点が合ってない、一体どこを見てる? その人影の前には開け放たれたロッカーがあって、中は真っ暗な空洞に見えた。
正座した女性の首は、なぜか不自然に後方に反っている。
それらの今目に飛び込んで認識したものは、すべて私に “見ないほうが良い”という直感を伝えていた。
それで私はとにかくソレに背を向けて身支度をした。
すると、母は何故か自分の目に触りながら、しきりに顔をしかめて鏡を見ている。
後で、どうしたのかと聞くと、風呂に入る前から、左目が痛いのだと言う。
眼球じゃなく、左目の下まぶた。普段そんな場所は痛くなることはまずあり得ないのに、何でか痛いのだと。
今考えると、それは霊障と言えるかもしれない。
母もやはり、空っぽのロッカーの前で正座したまま微動だにしない女性が気になり、さりげなく視線を送っていたら、その瞬間から目の下に痛みが出て来たんだと。
目の痛みはその後ずっと絶え間なく続き、結局銭湯施設を離れたと同時に、突如痛みが消えたという。
一旦更衣室から離れた私達は、隣の部屋でドライヤーで髪を乾かした。
その時はまだ、あのロッカーで正座している女性が、何かちょっとおかしい人なのかな?とか考えていた。
空っぽのロッカーの空中に視線を泳がせているというか…凝視しているに近い?
具合でも悪いのか…? でも、他の人も全く彼女に気づいてないみたいだったし。
…あの場所に、一体いつから座ってるんだろう?
等と思いながら。
あれから だいぶ時間も経ったし、もういないだろうと荷物を取りに再びロッカーへ。
いる!!
同じポーズ
同じロッカーの前に、さっきのままの正座姿で。
さすがに、異様な感じがした。
人影は、ぴくりとも動かない。息ひとつ、衣擦れの音すら聞こえない。
とにかく、帰り支度をしよう。ロッカーに鍵を差し込み、手早くコートやバッグ、湯に濡れて重く冷たくなったレンタルタオル等を抱える。
ふっと、私の視界に 斜め後ろにいるあの“人”が入ってくる。
こちらに背を向けたまま正座している女性の首、
その白い首が 不自然に後ろに反っていた。
何かを見上げているのだ。
空っぽの暗いロッカーの中。備え付けのハンガーを描けてある、棒。
訳がわからないが ぞくっとした。
これ以上ここに居たくない気持ちがぶわっと押し寄せる。
母と無言のまま、振り返らずにそこを離れた。
女性の首の残像がいつまでも消えなかった。
私は、銭湯を出るまでは、その“人”を生身の人、生きている人だろうと思っていた。80%くらいは…
でも、冷静になればなるほど、あれは霊だったのではないかという気がする。
11月で、この夜は寒かった。なのに、女性は薄着だった。
春先に着そうな薄手のシャツ、上着は無いし、彼女の目の前の開きっぱなしのロッカー内は 空っぽだった…それ以前に、手ぶらだった!
彼女の周りには何も無く、銭湯なのにタオル一枚持っていなかった。しかし更衣室へは、受付を通らなければそもそも入れないのだが…
自分達は少なくともトータル 一時間半はここにいた。私達が最初にロッカーに足を踏み入れた時点では、確かに彼女は居なかった。それは間違いなく確認した。なのに、気づいたら既にそこに居たのだ。私達が風呂に行った後から戻って来た時も 全く同じ場所に同じ様子で居り、私達が髪を乾かして帰って来た時も、まるでそこだけ切り取られた風景のように同じだった。
他のお客さんも行き交っていた。
銭湯の従業員も居た。
女性の周りを歩き回っていた。
さして広くない更衣室だ。
なのに、誰も彼女を見ていなかった。気づいてもいないようだった。
あの瞬間、彼女を“見ないほうが良い”という本能的な察知と
母の左目の下まぶたの痛みが、銭湯施設を出た途端に、嘘のように消えたこと
母いわく 彼女ともし、目が合ったらどうしようと思いながらも、どうしても見ずにはいられない状態だったが、むしろ目が合わなくて良かったと。
それに二人ともが共通して感じていたのは、理屈抜きに、「気持ちが悪い、怖い」という感覚だった。
後、これは不思議なんだけど
私はチラチラと一瞬、一瞬ずつしか彼女を見ていないんだけど、先ほども記したように、彼女は焦げ茶色っぽい、もしくは濃い赤茶色の服を着ている風に見えた。
だが母の印象では、彼女は全体的に薄いモヤがかかったような感じで、白っぽい地に花柄のシャツを着ていたという。
もしその女性が霊的な存在なら、それを認識する側によって、千差万別な印象があってもおかしくないのではないか。
そこにある思念は無尽なように思えるから。
でも、なるべくなら、霊には出くわしたくないな。
♦記録終わり♦
※追記※
この翌日、母が転倒した。
ゴミ捨てに行く途中、家の前の段差で、
前の晩に打った所と同じ箇所を打った。足のほうは軽く擦りむいただけだが、少し血が滲んでいた。転倒した瞬間に、足元のコンクリートの縁が、昨夜と同じ左目の下まぶたをかすめそうになったけど、間一髪だったらしい。
もう一点。
私はあのロッカーでの位置的に、ちょうど背を向ける側だったのと、何より見たくないという本能に従ったので気づかなかったのだが、“ソレ”は、首を高く頭上に反らせたまま、口を大きくガッと開けていたらしい。母は位置的に横並びだったので、その様子が見えていたのだ。
異様な光景だ。