「さあ、焼けたわよ。ロビー、お皿を持ってきてちょうだい」
祖母の呼ぶ声に、若草色のソファに寝そべって
携帯ゲームに興じていたロビーは、がばっと跳ね起きた。
キッチンから香ばしい甘い香りが、ロビーを包み込む。
祖母のマーサは、クッキー作りになぜかハマっていて、
孫のロビーが遠方からはるばる遊びに来る度に、
上達しているのかしていないのか微妙なところの菓子を、彼に勧めてくるのだ。
ロビーは甘いものが基本的に好きだ。
甘党。メキシカンタコスも大好きだけどね。
それは良いとして
祖母マーサのお手製クッキーは、美味くも不味くもない、なんだかなあというのが、ロビーの毎度の感想である。
ピンクの小花模様が散った、クッキー用の大皿(マーサはこれがお気に入り ! )を、木目調のテーブルに
ごとり、と置く。
ラベンダーティーにミルクを溶かした熱々のカップが二人分。
ふわり、空気がバター色に染まる。
ざらざらと皿いっぱいにクッキーが、広がる。
バター、イチゴ、マーマレード、ブルーベリー、などのジャムを練り込んだもの、
ココアやコーヒー風味・・
見慣れたそのなかに、ロビーが目を見張ったものがあった。
彼が大好きなアニメのキャラクター、
チーターのトロンだ。
トロンというキャラクター特有の“勝利のニヤリ顔”。
少しイビツなクッキーだとしても、日頃トロンに夢中なロビーは見間違うはずもない。
クッキーを手に、いつになくはしゃぐ孫を見て、
マーサはいつもの問いかけをする。
ロビー、美味しい?
うん、すっごく美味しいよ、これ !
ほんのちょっとの思考スパイスで
美味しくなるマーサのクッキー
和栗モンブランソフトを描いた。
