火蓋に取り付ける部品の実証実験 | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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 火縄銃には火蓋と呼ばれる部品が必ず取り付けられる。火蓋は,銃身内の火薬に火を点けるための点火用の火薬を盛り付ける火皿の蓋をする部品だ。誤って,点火用の火薬に火が点いて暴発してしまうのを防ぐのが,火蓋の役割である。今でいう安全装置といえば分かっていただけるだろう。

 

火縄と火蓋

右下の火蓋の鋲が,パイプ状になっている。

 

 

 この火蓋を留める鋲にも,工夫が隠されている。火蓋を留める鋲は,パイプ状になっている。火蓋の鋲を外して観察すると,直径2ミリ程度のパイプになっていて,上から下まで一直線に切れ込みがあった。小さな真鍮板を丸めて,このパイプを作ったのだ。鋲穴の円周に合わせた長さに真鍮板を切り出して,丸めていったに違いない。江戸時代のことだ。機械もなく,ろくな工具もない時代に,手仕事で作り出したのだから,昔の職人の技に感動してしまう。

 

火蓋を留める鋲

鋲の中央に線状の亀裂があることから,真鍮板を曲げて作ったことがわかる。

 

  火蓋を留める鋲を金属板で手巻きしてパイプ状にしたのは,火隠しなどの付属品を取り付けるためである。火隠しとは,夜間に敵に発見されないよう火縄についた火を覆い隠すための道具で,関流砲術の伝書にもその存在が記されている。火隠しは,皮や薄板などで作られた帆掛け船の帆のような形をしており,火蓋を留めるパイプ状の鋲に差し込んで用いると伝書は教えている。

 

私が作った火隠し

        火隠しの実物資料は残っいないと思われ,その絵や図も見たことが

        ないため,伝書の記録だけを頼りに,革と竹ひごを使って,私が火隠

        しを復元してみました。

        こんなものだろうというイメージでご覧ください。オッショサンにも相談

        していませんから,あくまでイメージという理解でお願いします。

 

火隠しを取り付け前方から写す。

 

            側方から写した火隠しと火挟み

 

            上方から写した火隠しと火挟み

 

  夜間,火縄の火は,遠くからでもよく目立つ。蛍の光でさえ夜間はかなり目立つのだから,火縄の火がいかに目立つかは言うまでもない。夜間の隠密射撃や狙撃の時には,その行動や位置を知られないために,火縄の火を隠さねばならない。当時の銃兵にとって,この火隠しは,必需品だったはずだ。

  しかし,どこの博物館にも,火隠しの実物は残されていない。当然私も見たことはない。写真の火隠しは,実証実験のために私が作ったもので,必ずしもかつて存在した火隠しと完全に一致するとは言えない。歴史事実というのは,きちんと記録されたり,物が残っていたりしないと,とても儚いものなのである。