子育て中の親御さんから、たとえば「学校で嫌なことがあって落ち込んでいる子どもに対してどんな声をかけたらいいでしょうか?」みたいな質問をされることがあります。
あるいは、「中学受験や高校受験の模試で、頑張ったのに結果が振るわなくて落ち込んでいるわが子に、どんな言葉をかけたらいいでしょうか?」とか。
親としては早くわが子の元気な顔が見たいから、何かうまい言葉がけをして元気を取り戻させてやりたいと思うわけですが、落ち込んでいるときに無理に励まされると、その言葉がものすごく軽く感じられて、逆にムカつくってことはありますよね。
難しい時期の子どもならなおさらそんな感情が湧いてきても不思議ではありません。
それは親も分かっている。だから難しいと感じてしまう。
でも、そんなに難しく考えることはないんだという話を今日はしたいと思います。
実はそういうときに、言葉なんていらないんです。
表情、しぐさ、姿勢、スキンシップなどによることば以外の伝達方法を心理学用語では
ノンバーバル(非言語)コミュニケーションと呼びます。人と人とのコミュニケーションでは、実に9割以上をことば以外の要素で伝達しているという説もあります。
たとえばことばがわからない赤ちゃんであればなおのこと、ノンバーバルコミュニケーションでコミュニケーションに頼らざるを得ません。
逆に言うと、赤ちゃんはことばが通じないだけで、コミュニケーションはとれるのです。
不満があれば泣く、うれしければ笑う。
悲しければ縮こまり、楽しければ手足をばたつかせて喜びます。
そんなときに、仕事では弁が立つパパが「まだことばが通じないからなあ」なんてぼやきながら知らん顔をしていたら、赤ちゃんはどう感じるでしょうか。
「この人はわかっちゃくれない(怒)」とパパに期待するのをやめ、
無視するようになるでしょう。
でも、もし、パパが赤ちゃんのしぐさ、表情、ことばにならない声に注意を払い、赤ちゃんがうれしそうなときにはうれしそうな表情を見せ、悲しそうなときにはいっしょに悲しそうな顔をしてやさしく抱き上げてあげていれば、パパの思いが赤ちゃんに伝わります。
ことばを介さなくてコミュニケーションをとれる能力が人間にはそもそも備わっているというわけです。
子どもが大きくなって、ことばを理解するようになっても同じなんです。特に感情が揺さぶられているときには、ことばよりもノンバーバルコミュニケーションのほうが有効なコミュニケーション手段だったりします。
落ち込んでいるわが子の背中をそっとなでたり、涙を溜めている子どもに対してただ黙って「悔しいよね」という想いを込めたアイコンタクトを返したり、コンビニで子どもの好きなアイスクリームを買って冷凍庫に入れておいてあげたり……。
そんな、ことばに頼らないコミュニケーションのほうが、すさんでいる心にはジーンとしみたりするものですよね。
昔の人なら自然にそういうことをやっていたと思います。
現代の人間はついことばや論理に頼り過ぎてしまうところがあるんですよね。
だから困ったことがあるとついことばで解決しようとしてしまうクセがついてしまっている。
「いいことばがみつからないな」と感じたときには、アイコンタクトとか、ジェスチャーとか、スキンシップとか、ことばに頼らないコミュニケーションを試してみるといいんじゃないでしょうか。
※2025年10月30日のFMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容です。
