『生涯を賭けるものを探して』T・Mさんのこと。 | fadoおじさんのblog~明日の君に~

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 それは、昨年の9月のこと、私の携帯電話に、『T・Mです。今通っている大学の、看護福祉学部臨床福祉科に編入しようと思います。○○先生、私の書いた編入試験の「志望理由書」を見てもらえますか』。という連絡が来た。

 

 

 T・Mさんと最初に出会ったのは、彼女が小学5年生の時、小4の時から私の塾に通っているFさんの紹介で、一つ下の弟と私の教室を訪れた。共に数回の体験学習の後2人そろって入会した。

 

 とても恥ずかしがりやさん、人との争いごとが嫌いで、いつも作り笑顔をしているものの、自分の本心を表すことの少ない少女だった。私は、経験上、このような子供たちの、とても感受性が豊かで、表面的な優しさや、口先だけの軽い言葉など見抜いてしまう純粋さを知っている。

 私は、彼女と心が通じ合うよう細心の注意を払いながら、勉強を通じて様々な会話を繰り返した。彼女が、私に心を開いてくれたのは、彼女が入会してから、なんと6か月ほど経った時であった。心に壁を作っていたのでは本当の指導など出来ない。

 

 T・Mさんの本格的な勉強ができるようになったのは、その時以後である。私は、どのような場面に遭遇しても、問題点を一緒に考え、彼女の意見を聞き、私の思ったことは真剣に伝えた。そんな中、紆余曲折はあったものの、彼女は中学校、高校と私の教室に通ってきてくれた。その間T・Mさんとの信頼はゆるぎないものになって行ったように思う。

 

 彼女が高校2年生になった9月ごろ、『私、行きたい大学があるので、日曜日、自習したいので教室を開けてもらえませんか?』と、言われ、彼女が大学を受験するまで、朝の10時から夕方の6時まで、教室を解放した。その間、彼女は特別な事情のない限り教室に足を運んで勉強をしてくれた。

 そして・・・・・大学入試。

 

 私は私の教室で、彼女に伝えたかったことは、『生涯を賭けるものを探すこと』。に尽きる。T・Mさんは、福祉科のある大学に合格するも、違う道に進んでいった。

 

          貴学の福祉臨床科に編入して何を学びたいか。

 

 私は、貴学○○大学福祉臨床学科に編入して、医療福祉、地域福祉、高齢者福祉などの福祉の実践現場に身を置き、そこで必要とされる様々な能力を学び、そして身に付けたいと強く思います。

 

 私は高校2年生の時、自分の将来について模索していました。そんな時、福祉という言葉に出会いました。そして、私の心の中で『福祉』という言葉が大きな比重を占めるようになったのです。

 

 福祉とはよく聞く言葉ですが、具体的な意味が分からず、調べてみました。辞典では、『福祉とは「しあわせ」や「ゆたかさ」を意味する言葉であり、全ての市民に最低限の幸福と社会的援助を提供するという理念をさす。』と書いてありました。みんなが幸せに生きるために私は何が出来るのか。私は、その意味を知った時、将来の自分の求めているものが見つかったような気がしました。

 

 そこで自分が進むべき大学を探すため、福祉という学科のある大学を調べました。そして貴学の看護福祉学部臨床福祉学科にたどり着いたのです。学科長のイギリスの哲学者A・ホワイトヘッドの言葉を引用したあと『豊かな社会の創造に寄与すべく「熱い心と冷静な頭脳」を求め、ともに学びあいましょう。』という言葉に感動すら覚えました。

 しかし入学案内書を読み進めるうちに、一つの不安が脳裏をよぎりました。それは『果たして自分に出来るのだろうか?』ということでした。悩んだ末、まずは、貴学の歯科衛生士専門学校で学び、その間、貴学の学生ボランティアネットワークに所属し、様々な経験をする中から自分自身の将来を見つめようと考えたのです。

 

 私は、入学後さっそく同大学の学生ボランティアネットワークに所属しました。そして仲間と共に、日々ボランティア活動に打ち込みました。ボランティア活動は、消極的だった私を大きく変えてくれました。

 具体的には、小学生から高校生までの学習支援と居住支援のボランティア活動でした。そこには、ひとり親の子供たちや生活保護世帯など様々な生活の背景を持った子供たちが数多く利用していました。私たち学生ボランティアの役割は、子供たちの放課後の学習支援と居場所づくりをすることでした。

 

 そこで経験した最も印象的な出来事は、ある高校生との出会いでした。彼女の最初の印象は、笑顔が素敵でとても元気に見えました。そして彼女は私を信頼してくれたのでしょう。少しずつ彼女の抱えている悩みや問題を話してくれるようになりました。

 多くは話せませんが、彼女は、家庭環境に大きな問題を抱え、決して友人にも学校の先生にも相談することのなかった話を、こんな私に泣きながら話してくれたのです。しかし私には、彼女の悩みに何も答えてあげることが出来ず、ただただ話を聞くことしかできませんでした。こんな時、専門的な知識や経験があればと思いました。

 また、私が学んでいる貴校の歯科衛生士専門学校で学んだ「地域歯科保健指導論」のフィールド実習において、幅広い世代の方の歯科衛生指導を行ったことも私に自信を与えてくれました。

 私が貴学で身に付けた、様々な経験は、私に『福祉に従事する』という自信を与えてくれました。そして高校2年生の時に『福祉の現場で仕事をする』という人生の目的を、掴み取るため、○○大学看護福祉学部臨床福祉科に編入させていただけることを、強く望みます。(1384文字)

 ※この文章は、私が、T・Mさんの『編入理由書』に手を加えて彼女に渡したものです。

 

 昨年の11月、T・Mさんから『○○先生、合格しました』。という連絡がきた。

 

 Blueさんのために『ブラームス間奏曲変ホ短調117の1』

 You tube G.Gould  https://www.youtube.com/watch?v=YD8i0jUmbF8

 ※この曲を知ったのは、5年ほど前のこと、私は、この曲を聴くと、人の優しさ、人生の豊かさ、儚さ・・・を強く感ずる。

 

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