2週間ほど前、私の携帯電話が鳴った。
○○先生ですか?F・K(拙ブログ「人生の節目に3度かかわることのできた喜び」19・6・31)ですけど、今、大学の夏休みで札幌に戻ってきているので、一度、教室に伺いたいのですが、先生の都合はどうでしょうか』。『お~。K君か、それなら〇日の8時ごろ教室に来てくれる、一緒に飲もうよ。』『それじゃその日にお伺いします・・・。』
教育とは何だろう・・・。私は、このことについて、最近、考えることがある。教育の崩壊が叫ばれて久しい。相変わらず、学校では『いじめ』、社会では『引きこもり』などが後を絶たない。私は、人生において様々な場面で、そう多くはないが、『師』として尊敬できる先達を持つことが出来た。それらの『師』は、学生時代より、社会人の時に多かったような気がする。
『会社は従業員を幸せにするためにあるのだ』と、社会人の心構えを教えてくれた石倉さん(拙ブログ「J・Sバッハ無伴奏ヴァイオリン組曲第2番5楽章『シャコンヌ』」18・8・9)。
『上に立つものの真の在り方を「部下との強い信頼関係」という形で示してくれた』足立さん(拙ブログ『銀界~山本邦山』足立課長の想い出)。
『惻隠の情を「青葉の笛」という歌で示してくれた』土居さん(拙ブログ「青葉の笛」一人の人間として)。
そして、仕事の厳しさを教えてくれ、私に最も大きな影響を与えてくれた先輩のI・Nさん(拙ブログ「青葉の笛」一人の人間として)。
考えると・・・全ては、『何をするにも一個の人間であれ』という教えに尽きる。言い換えると『礼節』を持つことである。
7年前の6月中旬のこと、私はF・K君と共に札幌の厚別区小野幌の『北海道開拓の村』に在る、復元された札幌農学校の『恵迪寮舎(けいてきりょうしゃ)』の中で、1時間ほどゆったりとした時間を過ごした。そこにはセピア色に染まった数枚の集合写真があった。私とF君は、写真から発せられる当時の学生たちの『青雲の志』を静かに流れる寮歌と共に身体いっぱい受け止めていた。
当日、8時ぐらいに教室にやってきたF・K君は、はにかんだ表情で、懐かしそうに教室を眺め『これは生徒たちに・・・こちらは先生に・・・。』と菓子折りを二つ渡してくれた。私は、早速、一つの菓子折りを開けて、中に入っていたお菓子を生徒たちに配った。それからF・K君を連れて、近くの焼き鳥店で軽く腹ごしらえをしてから、行きつけ(・・・と言っても、年に5度ほどしか行かないが)のbarに向かった。
ボウモア蒸留所のマネージャー、ジム・マッキュエンはアイラ島の生まれである。曾祖父の代からこの蒸留所で働いている。この蒸留所こそ、彼の人生であり、宇宙である。
『アイラでは樽が呼吸するんだ。倉庫は海辺にあるからアイラのモルトは潮の香りがするのさ。そして、これが伝統なんだ』。彼の師匠は見習いの彼にウイスキー造りの伝統とノウハウをすべて伝えてくれた。
『ウイスキー造りを僕が好きなのは、それは本質的にロマンチックな仕事だからだ』と彼は言う。『僕がこうして造っているウイスキーが世の中に出て行くとき、あるいは僕はもうこの世にいないかもしれない。しかし、それは僕が造ったものなんだ。そういうのって素敵なことだと思わないかい?』・・・。(「もし僕らのことばがウイスキーであったなら」村上春樹より・・・」
F・K君と『BARのスツール』に二人並んですわり、膨大な種類の酒が並んでいるバックバーの中から、私が選んだのは、スコッチである。チューリップのように開いたグラスに注がれたスコッチの香りと味を楽しみながら、数々のお思い出話、それから、私が『私の師』から学んだことを熱く伝えた。何種類かのスコッチを飲み終えた後、最後に潮の香りのするアイラモルトの『カリラ12年』のトワイスアップを頼んだ。
私は、先達の役割を果たすために日々生徒たちと接している。それは、私が『師』と尊敬する先達の方々から学び取ったことである。昔より『教育』というものは、尊敬できる『師』から弟子へと綿々と受け継がれてゆくものではないだろうか。F・K君が社会人になり、何年か経って上司となり、部下を持ったとき、あるいは家族を持ったとき、私は、もうこの世にいないかもしれない、しかし私の伝えたことを、少しでも彼が思い出してくれるとチョッピリ嬉しいような気がする。
blueさんのために『夕焼け』原詩 吉野宏 作曲 高田渡 歌 高田渡
You tube https://www.youtube.com/watch?v=afBivN6uUok
いつものこと
電車は満員
そして いつものこと
若者が座り
年寄りが 立っていた
うつむいていた娘
年寄りに席をゆずる
礼もいわずに 年寄りは
次の駅で降りた
娘は座った が
また 別の年寄りが
娘の前に 娘の前に
娘はうつむいた が また
年寄りに席をゆずる
年寄りは礼をいって
次の駅で降りた
娘は座った
二度あることは
三度という通り
別の年寄りが
娘の前に 娘の前に
かわいそうに娘
うつむいて うつむいたまま
席をゆずらず
次の駅も 次の駅も
唇をかみしめ
つらい気持ちで
娘はどこまで どこまで行くのだろう
唇をかみしめ
つらい気持ちで
やさしい心に責められながら
美しい夕焼けもみないで
唇をかみしめ
つらい気持ちで
美しい夕焼けもみないで
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