5、パパの優しさと様々な事情
バスルーム事件以来、私はこの家の息子に対する愛想笑いをぴたりとやめた。
これまで気をつかいすぎていた自分を反省したのだ。
これ以上つけあがらせてはならない。
そうしてついに、オーストラリアに来てから三週間が過ぎようとしていた。
ホームステイ代金は前払いで、その全額をエージェントに支払ってあるのでホストと直接お金のやりとりをすることはない。
最初こそ私をゲスト扱いしていたママも、この頃になるともう自分の子とおなじように接していた。
ママの料理はとてもシンプルだった。
丸椅子に腰かけ、シンクから続くカウンターのうえで野菜をスライスする姿もさまになっている。
グラスに赤ワインをそそぎ、ちびちびやりながら夕食のサラダをつくるのがママの日課であった。
あとは冷凍食品をオーブンで焼くだけのメイン料理と、主食にはバターをのせた食パンが10枚ほど皿に積みあげられる。
ワンパターンだがそれほど不服はなかった。
なぜなら金曜日の夜には、きまってパパがとびきり美味しいタイ料理レストランへママと共に招待してくれたからである。
そして土曜日だけ家に来て、パパはこれまた美味しい手料理を披露してくれた。
ひとのよさそうな、うけくちの笑顔でつくるパパのグレイビーソースは絶品であった。
なぜ一緒に暮らさないのかは不明だが、それを詮索する気もなかった。
いつだったか娘が、
"He's not my dad"
(私のパパじゃないの)
と言っていたので、きっとそのあたりの事情からだろう。
弟とは父親違いの姉弟なのだという。
彼らはよく似た姉弟だと思っていた私はおどろきを隠せなかった。
ママの髪はシルバー混じりのブロンドで、姉弟は揃ってきつい天然パーマの黒髪である。
顔立ちはふたりとも母親似だが、ママのそれとは違う黒髪も、髪質までこの姉弟はよく似ていた。
きっとママの好みが偏っているか、たまたまふたりの父親が似ていたかのどちらかだろう。
目を丸くした私に彼女はこう付けくわえた。
―ママは今夜、私のパパとデートなの、と。
けろりとした表情が、今でも忘れられない。
つづく
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