詩(13) | BLOG MYSTERY NOVELS

詩(13)



題「闇からの再生」


 俺は偽善の中で良心を育てた。
 闇の中で静かに研ぐ、牙の光りを見つめながら。

 俺は、錆びれた街の排気ガスに抱かれながら、育てられた。

 震える肩を抱いてくれる、誰かの温かな指先の体温さえも知らぬまま。

 凍てついた夜が、若者達の目を研ぎ澄まさせていき、

 冷たい風が、容赦なく俺を、射抜いていく。

 狂えないクールさに髪の毛をかきむしり、
 どうでもいいような鼻歌を口ずさむ日々。

 曖昧な感覚が、すべての力学をねじ曲げていき、
 出口なき道の途上で、俺は、
 自分のこの掌を、
 ただ、
 じっと見つめているだけ。


 白い道の向こう側に、幾つもの白い家が立ち並ぶ。

 その家に住む術も知らず、心の中に、ただ風が吹いている。

 偽善に咲いた花として、何かを書き、
 腐った心を鏡に映しては、
 反射するものの威圧に、
 今震えている。

 それでも、まだ捨てきれぬもの、
 そのすべてに孕む尊さに対し、
 手を伸ばしてみる。

 いつからか、
 そんな風に生きていた自分がいた。


 目の前に列車が走っている。
 過ぎ去ったものを全て積んでいる
 列車が。

 そして、新しい荷物を生み出すために、
 次に来る電車を、
 一人
 ここで待っている。

 もう一度、踏み出すための第一歩を落とす、
 穢れ無き大地へと、静かに立つために。

 何故、時は、こうもいとも容易く、
 人を変えてしまうのだろう。

 一度、上手くいきかけたものさえ、
 たった一度の過ちで、
 容易く壊れてしまった。

 何もかもが終わり、
 何故か、一番わからない自分という脂肪機械に、
 どこか遠くにいる自分の魂が、振り回されている?

 何故、あの時自分は立ち止まり、
 積み上げた石を
 途中で
 投げ出してしまったのだろう?

 あぁ、わからない。
 この心。
 だからこそ、そのわからないものの姿に、今、向き合おう。

 もう一度。