10年くらい前に買ったグレーのコート。



カシミア入りでとても肌触りがよくて、デザインもよく、グレーの微妙な色合いも100%好みなんだけど

袖が少し細くて着にくく、この数年は着よう着ようと思いつつも

1度も袖を通さないままクローゼットにしまい込まれるだけになっていました。



なんでもポイポイ処分するタイプの私ですが

このコートは当時の私にしてはちょっとお高めだったこともあり

なかなか捨てる決心がつかなかったんですね。



それが、今年の夏の終わりごろ

「そうだ!袖を取ってジレにすればいいじゃないか!!」と思いついたんです。

着にくい理由は「袖が細いから」だけだったので、袖を取ればまた着れるだろうと考えました。



うちから徒歩数十秒以内に2軒のリフォーム店があり

(これ何気にすごくないですか?)

最初に、より近い方のお店に相談に行ってみました。



このお店を仮にA店としましょう。

A店には初めての来店です。



お店に入ると中には大量の衣類が雑然と積み上げられ

入口のすぐ横で年配の女性がミシンで作業をしているところでした。



雰囲気は「雑然」だけれども

ミシンは立派だし

ざっと100色くらいのミシン糸が壁一面にずらりと並んでいて圧巻でした。



「あのう、、、今日は相談があって伺いました。

このコートの袖を取ってジレにできないかと思っているんですが、、、」



そう声をかけると年配のその女性は私のコートを手に持ち

「ふーん」とため息だか何だかよく分からない声を出しこう言いました。




「これは、かなり高くなるわよ」



実はこのコート、ちょっと特殊な生地で作られているので

素人の私には詳しく分からないものの普通の縫い方じゃないだろうな、ということは想像がついていました。

そもそも可能かどうかも判断しにくかったので「相談」をしに行ったし

少々値段が張ってもこのまま着ないで捨てるよりはいいだろうと思っていたので

2万円までだったら出すつもりでした。






専門知識がない私に、これはこうだから手間がかかる、手まつり仕上げだから時間もかかる

年内には仕上がらないかもしれない

とその女性は言います。



工賃は15000円から20000円、とのことでした。




予算内だったのですが、今年中には着れないかもしれない。



ジレなんて、本気の冬になったら出番が減るだろうしそれは困る、、、



そして、なんとも言えない不穏な空気。



引き受けたくないのかなぁ???という感じもあったし

それよりなにより私が「ここにお願いしたくない」となんとなく思ったので

検討してみてまた必要なら持ってきますと言いA店を出ました。




そしてその足ですぐ、今度はもうひとつのB店に向かいました。

金曜と土曜にしか開いてないのだけど、以前にパンツの丈上げをお願いしたことがあるお店です。



なにせ営業日が週2日なので

預けるにも引き取るにもちょっと融通が利かない(笑)

だからA店に先に行ってみたのですが

たまたまその日が土曜だったのでB店にも行くことができました。



こんにちはと挨拶をしたあとA店と同じように

「あのう、、、今日は相談があって伺いました。

このコートの袖を取ってジレにできないかと思っているんですが、、、」

と言いました。




するとお店のマダムは

あらぁ~コートの方がいいじゃない!!!どうしたのよ?

ちょっとこっちに来て着てみせて!!

と言います。



鏡の前でほぼ部屋着のジャージの上からコートを羽織り(笑)

袖が細くてインナーを合わせずらいこと

生地がいいから捨てるのはもったいなくてどうにかできないかとジレを思いついたこと



そんなことを話すと



「そうね、、、

袖から脇に生地を足して広げられるわよ

そうすればなんの違和感もなく着やすくできるわ

同じ色合いの生地でもいいし、違う色を使ってデザインとすることもできる。




ちょっと待って!ウエストのベルトがあるじゃない!

これを使えば同じ生地で最初からこうだったみたいに仕上げられるわよ!!!



ジレなんて流行が去ったら着れなくなるけど

コートのままにしておけば一生着れるわよ

こんないい生地なんだもの

それが絶対おすすめよ」



と熱いプレゼン(笑)




私としてもジレは苦肉の策だったから、コートとして着られるなら絶対にその方がいい。




え?そんなことができるんですか??

じゃあ絶対そっちがいいです!!!

と値段も聞かずにお願いした私。




どうしたってA店と比べてしまうのだけど

同じセリフで相談したにも関わらずこの違いはいったいどういうことなのでしょう?



以前B店でお願いしたパンツは鮮やかな赤だったのだけど

その時もマダムは「あらぁ~いい色じゃないの!!あなたにとてもよく似合ってる」って言ってくれて

すごく素敵な人だなと思ったんですよね。



本当に小さな、町の商店街のお店だけど

その中だけはまるでパリみたいに感じるんですよ。

マダムの雰囲気もすごく素敵で。



結局、なんとびっくりの8000円でやってくださるとのことで

歓喜乱舞しながらお願いしてきました。

マダムは「楽しみにしててね、腕が鳴るわ」とおっしゃってました。





人の「こうしたい」という思いには必ず背景があって

その願いに忠実に応えてあげるのも喜ばれることではあると思うけど



なぜその思いに至ったのか?を掘り下げると

相手が望むこと以外の所に最善の答えがある、、、、場合もあるよね



なんてことを思いながら帰宅しました。



仕上がりが本当に楽しみです。



としださおり