ここで転機が訪れる。
長年使い続けた愛機ニコンFAとの突然の別れ。同時に「ニコン」そのものとも離れる事になった。
1996年、知人からCanon EOS620を譲り受けた。本体、及び標準・望遠のズームレンズ、全てが未開封の新品であった。どんな事情があって譲られたのか聞きはしなかったが、少なくとも「ヤバイ」物ではないので引き受けることにした。
初めて一眼を手にしたときからの20年近くニコンと付き合っていただけに、同社との決別はかなり勇気がいるものだった。
ニコンFAとの付き合いの中、一眼レフカメラはミノルタα7000を始めとするほとんどの機種でオートフォーカス化が進んでいた。当然、入手したEOS620も同機能は搭載していた。今ではどのメーカーでも、どの機種でも当たり前の機能も、長年マニュアルでの撮影経験しかない自分には、震えるほどの感動だった。しかも2本のズームレンズは28ミリ~300ミリまでカバーし、ほとんどの条件でこちらの要求を満たしてくれた。
基本的には「物を大切にする人間」と自負しているし、「壊れるまで何度でも修理して使う」というのが自分の愛用品に対するスタンスだ。机やイス、包丁なら納得いくまで使うが、精密部品や電子部品を必要とするカメラでは修理にも限界がある。目覚しく進化したカメラの世界で、旧タイプは修理にものすごく時間も費用もかかる場合があるのだった。
