4.幻火? 対 闇の使い手(2)
幻之丞「一度、表舞台にお立ちになった方が、そう簡単に、幕引きとはあまりにも冷たいのでは
ありませぬか?副頭領殿。」
天真「あ、本当の幻之丞か?やっぱり、やつの変装術はすごいではないか!!
幻之丞、遅いので心配して居ったぞ。」
幻之丞「天真殿こそ、御無事でなにより。したが、そろそろ、後進の御指導のみに専念されるが
よろしかろーと愚考いたす。」
脳天鬼「その言い様、先達に向かって失礼であろう!!」
天真「いーんだ、いーんだ。やつのいつも言い方なんだ。」
幻之丞「脳天鬼殿も伊賀屋敷にお帰り召されよ。
副首領殿、一対一になった。これなら、戦ってくれるであろうか?」
しらない「ほー、よほどの自信か?」
脳天鬼「ほんとに我々は帰らなければならぬのですか??」
天真「あいつは、今まで闇の中で孤独に耐えて戦ってきた。不利な状況になっても、すぐ味方が
きてくれるわけではない。そんな中で、やつなりの、勝ち方、逃げ方、攻撃、護身など
身につけてきた。10年ほどかかったそうだ。以来周りに味方がいると気が散るように
なったようだ。
幻之丞、影丸がユーとったから確かだと思うが、不知火内膳の剣術は一流だったそうじゃ。」
幻之丞「それは私も影丸から聞いた。手裏剣技も多彩とな。火術も要注意と。」
天真「勝ち目はあるのか?」
幻之丞「勝負は時の運。
ヒントは幻也斎と野火の闘い(七つの影法師、選ばれた七人)にありそーだ。
いまはそれしか思いつかん。
もーいーだろー。」
脳天鬼「本当に、本当に・・・帰っていいのでござるか?」
天真「・・・・オレに聞くな・・・」
しらない「幻之丞と言えば、20年前、仲間の黒夜叉が捕らえられた時の殊勲者であり申したな。
相手にとって不足はないな。
そろそろ参るぞ!始めはこれだ!!<伊賀十字打ち>!!」
幻之丞「(なに?どこ向けて打ってるんだ?・・・でもないぞ・・・
右の手裏剣軌道は、こちらの頭を狙って縦の円弧で随分高いところから曲がりながら
落ちてくる。
左は地べたをはって最後の最後で浮き上がって曲がりながら心の臓に狙いが定まっている。
距離を随時とった方がよさそうだ。
モノマネだろうが、どーして、さすが、副頭領を張るだけの技量・・・剣術、体術なども油断ならん。
場合によっては、いったん引き上げだ・・・
こちらも準備するか・・・苦内(クナイ、8-10cmほどの棒状手裏剣)、3本、内1本が仕掛け物、
あと、1枚が円形の音だし手裏剣。よし。こちらが風上だしおそらく行ける。)
副頭領殿、手裏剣の腕前1つでも、さすが、尋常ではありませぬな。
ではこちらからも参りますぞ。」
しらない「いやいや、やはり御本家よ。拙者の十字打ちはやはりサルまね程度でしたかな?
距離をとられただけで見切られてしモータワイ。
ではもう一度<伊賀十字打ち>!!。
(1投目より手裏剣の径が3寸ほど大きいし、その分重くて速い。避けられるか?
しかし、やつの投げた手裏剣、とうに、届いているはず、どうなっているのか?
手裏剣ではないのか?あ、風切り音・・・楽曲か?なんだこの囚人の手鎖みたいのは?
” 鏑かぶら ”が付いていて、円形の中の半分くらいに絹地が張ってある・・・
こちらが風下、この軽さゆえゆっくり流れるように飛べるのだ・・・
しかし、これもいずれ、風切り音か飛行音を消す道具にすぎん。これより、長い距離を
とおってここまで来れるところといえば・・・頭上だ!!www、3本目がよけきれん。
何かひとりでに外れた・・・故意か?計算間違いか?・・・棒状手裏剣を思い切り高く
あげるとは考えたな。やはり、やつは只者ではないらしい。十字打ちの2回目も
外れているだろう・・・)」。
幻之丞「副頭領殿、始めの手裏剣をこちらが簡単に見切ったと思わせ、2回目の手裏剣は、
より大きく重くて速いものを繰り出すとはなかなか、旨い方法をお考えになりましたな。」
しらない「お主こそ、棒状手裏剣を、振り上げるとは考えたものよ。
しかも、この暗闇の中で、高さも見当つけて、ワシの居場所までよく飛ばせたものだ。
これではさすがの黒夜叉もかなわなかったわけだ。
(??ワシがやつの居場所が分かっているのは、始めやつが立っていたからだ。
しかし、ワシは、天真と脳天鬼には[ にせ・幻之丞として ]あってはいたが、本人には
会ってはいない。
・・・やつから、ワシの居場所は・・・)」
幻之丞「そのとーり。常に見えていましたよ。」
しらない「すっかり出し抜かれていたようですな。
おおお、さきほどの、棒状手裏剣の一本から火花が・・・」
幻之丞「影丸から、不知火内膳殿の幻火術は要注意!!と、聞かされておりましたので、本物の火を
用意したまで。
幻術の火は真の火より暗いといわれているようですからな。」
しらない「さようか。幻之丞殿。今の今まで、お主が有利だったのに、こちらの得意技で勝負を挑んで
くれたおかげで、私は随分助かりましたぞ。気が楽になりました。
それでは幻之丞殿たっての願いということなので、この場は火術合戦と参りましょうか?
それッ!!」
◆しらないが何か足もとに落としたようだった。
幻之丞「ああッ、火走り!!」
しらない「さすが、よく御存じじゃ。養父(ちち)が幻火術だからと言って、何も私まで幻火術である必要はない。
そうではありますまいか?幻之丞殿。顔色がかなり悪くなってきているぞ!!」
やがて、そこかしこで火柱が断続的に上がり始めた。
この現場から、江戸に向かっていた、天真、脳天鬼からもそれはいやというほどみえた。
脳天鬼「天真殿、今度という今度、拙者行かせていただきます。
それに、東の空に、明けの星(明けの明星=金星)が出かかっております。
もう、夜ではありませんから、幻之丞殿を助太刀に参りますよ。
拙者我慢の限界です。」
天真「まず、お主全力で向こうに走ってくれ。けが人と一緒では急ぐものも急げない・・・
俺も後から行く。」
脳天鬼「心得申した。」
幻之丞「あちちち・・・。金星か・・・。今回で俺もおしまいか・・・
いや・・・たしか・・・影丸が<七つの影法師・魔風との最終戦・・・>で・・・」
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影丸のいない日・・・・3/8+あるふぁ 了