愛らしい作品だと、おもっていました。

幼い頃、祖母が購読していた「暮らしの手帖」。

この方の挿絵による童話をいつも楽しみにしていたものです。

祖母とゆっくり語りあいながらのお茶の時間。

それを懐かしむだけの気持ちで、仕事の昼休みに福岡市博物館に出かけたのです。


なじみの深い作品たちですが、思えば印刷物だけでしか見たことがありませんでした。

影絵の作る美しいシルエットを好ましく思っていた作品群。

実物を初めて見た、私の目に入ってきたのは、それとは真逆。

まさに「影に彩られた光の洪水」でした。


今の私がカメラのレンズや自分の眼をとおして、とらえている輝き。

朝陽や午後の光に輝く枝葉、空を飛ぶ鳥のシルエット。

花びらに透ける淡い光・・・


まるで心にとらえた光の美が作品に共鳴して、爆発したみたい。


自然界の生命の輝きが、色彩をまとって光に水に、反射するのです。

不意を突かれ感動して、私の眼にはいつの間にか静かに涙が溢れだしていました。


作品展示はかなり凝っていて、水への映りこみを演出したものや、巨大なオブジェまで。


鏡に囲まれて、たたずむ自分の姿と灯りと小人たちのリフレイン。

ただただ、呆然と光と色を受け止めておりました。



震災や聖書、宮沢賢治等。既存のテーマに沿った作品も素敵でしたが、この方がオリジナルで生み出した映像群に、最も心うたれました。



作品に多出する小人たちは、この方の心の象徴だと感じます。

時に楽しく、時に癒しと祈りを。

涙が止まらなくなったのは、いろいろな場面で、添えられた優しさに触れたからでしょう。




博物館の建物を出て、中庭の水に反射した光を、いつもより眩しく感じました。


うつくしいものは、自分の心を映す鏡。

感じ取れるものだけにしか共鳴しないのです。


これからも多くの美しさを、受け取る感覚を持ち探しつづけられますように。


会期中に、ゆっくりこの気持ちを味わいに・・・

再びこの展示を観に訪れてみたいと思います。



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