お子さんのことで、
胸がいっぱいになることはありませんか?
「しっかりしなきゃ」
「親なんだから、泣いてる場合じゃない」
「私がくずれたら、この子はどうなるの?」
そんなふうに
自分に言い聞かせていませんか?
涙をこらえているのは、
お子さんを十分に大切に思っているからです。
自分の感情を押し込め続けないように、
自分自身をいたわることも、大切なことです。
台所から聞こえた声
中学一年生の少年は、
学校に行けなくなって三か月が経っていました。
毎朝、母親は笑顔で「おはよう」と
言ってくれます。
でも、少年は気づいていました。
母親が少しだけ無理をしていること。
ある日の夕方。
台所の水の音と一緒に、
小さな声が聞こえました。
少年は、静かに台所をのぞきました。
母親が、シンクの前でそっと泣いていたのです。
声を出さないように、
小さく肩をふるわせていました。
少年は、胸がぎゅっと痛くなりました。
――僕のせいだ。
思わず少年は、
母親のそばに駆け寄りました。
あわてた母親は、急いで涙をぬぐいました。
「大丈夫、なんでもないよ」
少年は何も言えず、ただ、
そばに立つことしかできませんでした。
窓の外では、さっきまで降っていた雨が
止んでいました。
雲のすき間から夕日がさしています。
――いつも明るくふるまってくれていたけど、
お母さんもたくさんの気持ちを
抱えているんだ……
その涙は、優しさの証
泣いてしまうほど、
お子さんのことを思い続けているのです。
その涙を、責める必要はありません。
毎日、懸命に向き合っているからこそ、
心が揺れる日もあります。
迷うこともあります。
答えが見つからない日だってあります。
でも、お子さんを思うその気持ちは、
誰よりも強く、お子さんにもきっと届いています。
無理に気持ちを押し込めなくても大丈夫です。
ただそばに居てくれること。
それがお子さんにとって何よりも一番の支え
なのですから。

