ずっとご無沙汰してる間に…季節はすっかり春から初夏へ
草木の瑞々しい香り…もわぁ〜っ
と、熱気を帯びた風が吹き抜ける時は、夏の気配に心のひだが揺れ、浮き立つような感覚
朝方に街並みを照らす…陽の光が輝いて見える頃
皆様は健やかにお過ごしでしょうか
今回も長文になります…昔々の話しで大変恐縮なのですが、お時間の許すかたは、お付き合い頂けたら嬉しいです
ずっと心の奥底にしまっていた…もうセピア色を通り越し、モノクロームへと色褪せた思い出
ここあさんが描いた『道』…その澄んだ筆先に宿っている、勢いと憂いのある文字のちからをお借りし、もう40年以上前の話しではありますが、誰にも打ち明けずに胸の内に留めていた、澱のような後悔を、今こそ解き放ち、自分を許す事が出来たら
勇気を振り絞り…綴りたいと思います
そのひとに初めて出会ったのは…高校3年の夏前、丁度今頃の季節だったと思います
駅の地下道で突然「俺の友達があんたの事、気になってるみたいで、名前聞いて欲しいって頼まれた」
そう…声をかけてきたのです
とにかく落ち着いて話しがしたいからと…近くの喫茶店に入りました
ちょっと強引過ぎるとひとだと思ったのですが…当時の私は、付き合っていた初カレと別れたばかりで、フリーだった事もあり、なんとなく断りきれず、話しを聞いてみる事にしたのでした
彼は私と同じ高校3年生…その日は喫茶店で小一時間程、なんともない話しをし、私は自宅近くでのバイト時間が迫っていたので、彼にバス停まで送って貰い帰りました
いつも何時頃に地下道を通るか?と聞かれ…約束をした訳でもなかったので、どうせ彼と会う事もないだろうと思い、軽い気持ちで時間を教えたのです
それから何日か後…学校の帰りにまた、彼に出会ったのでした
偶然??それとも…まさか!待ってたとか
その後は地下道で会えた日は…近くの喫茶店でお茶をするのが、決まり事のようになりました
彼は名前こそ日本名でしたが…在日のひとでした
手の甲には根性焼きの跡があり…時折眉根を寄せ、鋭い眼つきをするのがクセのようで、その時はゾッとする程、冷ややかな表情になるのです
在日のひとは日本の事を良く思ってない…怒らせたら族や、ヤンキーより怖い存在
そんな噂が横行していた時代だったので…彼とはあまり関わらない方が得策、友人に話したらどう思われるだろうか?それが気掛かりで、私は彼と会っている事を、誰にも打ち明けなかったのです
夏休みに入り…駅に行く事はあっても、時間がまちまちだったので、もう今度こそ彼に会う事はないと思ってました
けれど夏休みが終わり…学校が始まるようになると彼はまた、地下道で待っていたのです
それからも会えた日は、喫茶店で時間を潰し…時には休日、一緒に電車で出掛けたり、バスの時間を待っている間、近くの公園のベンチに座り、なにを話すでもなく、ボーッ!と過ごしたりしてました
そんな不思議な関係が続き…いよいよ卒業を迎える頃になり、私は春から専門学校へ通うことになっていました
「〇〇君はこれからどうするの?」そう聞いても彼は…「俺は別になにも変わんねぇよ!」と言うのです
「でも…なにか仕事はするんでしょ?」そう問いかけても…「なにかって?そんなのわっかんねぇ!」と
それ以上踏み込んではいけない気がして…こうして会う事も無くなるのだから、もう彼の事は考えないよう心に決めたのです
私は学校に通いながら、駅近でバイトを見付け…新しく始まった生活に追われ、段々彼の事を忘れて行きました
新しいバイト先はファミレスで…深夜の時間帯も入れてました
ファミレスのお客様で…キレイなお姉様、異国のお嬢様と連れ立って、明け方になると時々来店される【シャチョウ、或いはボス】と呼ばれる、いかつい雰囲気を醸し出しているかたがいました
私の住む町の隣駅には、関東屈指の歓楽街があり…その筋のひとが多い町で、シャチョウはどうやら、その類いかたのようでした
ある日私が深夜の時間帯で働いてる時…あの彼がシャチョウに連れられ、来店したのです
私は気付かれないよう、バックヤードの補充をしたり…彼のいる側のフロアには、なるべく行かないようにしていたのですが、どうやら気付かれたようでした
彼は髪をオールバックにし…年齢に似つかわしくない、派手目なスーツをビシッ
と着こなし、キレイなお姉様達と一緒でした
別の日…夜時間のバイトを終え、帰宅しようとしていたところ、彼が車の間を縫って、道を渡って来るのが見えました
とても驚いたのと同時に…今更どうして?という気持ちで頭がいっぱいになりました
「車で来たから家まで送る」そう言う彼に私は、「バスで帰る!」と告げたのですが、歩き出した私の袖を掴み、「送るから!!」と言うのです
彼はとても大人びて見えました…なのに私は通学とバイトで汗まみれ、ヨレたシャツにジーンズ、肩には大きなキャンパスバッグをかけ、あまりに対照的な姿
なんでよりにもよって今日の私は、こんな格好なのだろう…彼のまわりには隙なく化粧をし、髪を整えたキレイなお姉様達がいつも一緒なのだ、半年程の間に彼は随分と変わってしまった
なのに私は…あの頃より酷い姿
蒸し返すようだけど…そもそも初めて会った時の、私の事を気に入ったってひとに、私は会った事はなかったけど、あれって何だったの
なんで今日会いに来たの
…毎日あくせく過ごしている、私の事を笑いに来たの
私は今…学校で出会っ先輩と付き合い始めたばかりなんだから![]()
あなたが思う以上に…楽しい毎日なんだから![]()
ちゃんとした仕事をしてる?そうは見えないんだけど…どうやって生活してるの
あの【シャチョウ】の元で働いてるとか
なんで…どうしてそうなってしまったの
言いたい事も聞きたい事も沢山あった…でも上手く言葉に出来そうもなく、様々な感情が込み上げ、なにも伝える事が出来ないまま、私は泣き出していました![]()
泣いて気まずいと感じながらも…私は溢れる涙を止められないばかりか、子供のように泣きじゃくっていました
ひとしきり泣き終えた後…彼は私になにか言いました
ごめん!だったのか、行こう!だったか…興奮冷めやらぬ私には、その声は聞き取れませんでした
彼は掴んでいた袖から手を離し…いつものバス停に向かい歩き始めました
私はその後をのろのろついて歩き…バス停の列に並んだのを見届けると、彼は元来た道を戻って行きました
その後ろ姿を眺めながら…私は同時に3つの事を悟ったのです
彼はいつもどんな時も優しかった…私はそんな彼に、ずっと恋をしていたのだ![]()
けれどもう2度と会う事はない…そしてこの日の別れをこれから先ずっと、後悔し続けるだろうと![]()
家に帰ってから…彼と出会ってからの日々を、思い返しては、胸が苦しくなり、その日の夜は眠る事が出来ませんでした
ある日の事…お腹が空いたという彼に付き合い、繁華街近くの中華店に行きました
お店に入って直ぐ…私の食べたいものなど聞かず「ラーメンを2つ」と頼んだ〇〇君
箸使いが下手な私は…麺が上手くすくえず、のびてしまい、どんぶりをかかえてスープを飲むのも気恥ずかしく、底に描かれた模様が見えるまで、蓮華でチマチマしゃくり、ラーメン1杯食べ終わるのに、物凄く時間がかかってしまった
ラーメンの食べ方が下手で恥ずかしいから!と言えず…ご馳走になっておきながら「中華店は飲み物が無いからもう行かない、絶対ヤダ
」と、駄々をこねた![]()
〇〇君は「わかった」と言い…それから中華店に行く事はなかったね
いつも奢って貰うばかりなのが申し訳なく「今日は私に払わせて!」と言っても「俺はパチンコで負けた事が無いから、金なら大丈夫…心配するな!」と言い、絶対に出させてくれなかった
喫茶店でケーキを選んでいると…「2個でも3個でも食べたいだけ食べろ」と言ってたね
甘いものが苦手な〇〇君は食べないのに…毎回ご馳走になる罪悪感から「私だけ何個も食べるの、恥ずかしいじゃん!」と言うと「じゃあ俺も1個頼むから、何が1番甘くないか選んでくれ!」そう言われ「チョコレートケーキならそんなに甘くないよ」って私の言葉を信じ、チョコレートケーキにしたよね
ケーキをひとくち口にした後…思いっきり険しい顔をし「砂糖より甘い!!」と言いながら、熱いコーヒーで飲み込んで食べたね
※画像をお借りしました
一緒に出掛けた時は手をつなぐ訳でもなく…さっさと前を歩いて行く〇〇君の後ろ姿を、足早に追いかける私
時々見失しないそうになると…背の高い〇〇君の頭が、ピョコっと見え隠れする
人混みを歩く時はいつもそんな感じ
「どんどん先に行くから、ついて行くの大変なんだよ
」と訴えると…それからは時折、後ろを振り返り、私がいるのを確認し、歩いてくれたね
都内に出た時は私を気遣い、女子ウケする可愛らしい飲食店を選んでくれた…ドリアがお気に入りで、あっ!と言う間に平らげてたよね
「熱いものを食べる時は気を付けて!」って、何度言っても直らず、一気に食べてしまうから…いつも口の中をやけどしてたっけ
私はといえば…スパゲッティを選んだ時、私が食べてる姿を、じっ
と見ているのに緊張してしまい、いつまでもスプーンの上で、フォークをくるくる回し、ラーメンの時のように、食べるのが遅くなってた
「食べてる時はこっち見ないで
」そう言うと「ごめん!」と謝ってくれたね
〇〇君にとっては居心地の悪いお店…待たせてたのは私なのに、逆ギレしてごめんね
〇〇君は私がムスッ
とした時…いつも叱られた仔犬のような、悲しい顔をしたよね
不器用ながらもいつも…私を思い遣り、理不尽なワガママを許してくれた![]()
そんな彼が一度だけ…不機嫌になった事がありました
ラジカセが壊れたので…新しいのを買いに行く!と言うと、一緒に選んでくれるというので、電気店に向かったのですが、私に「ラジカセは俺が買ってやる」と言うのです
「私は自分のものは自分で買うから…絶対お金は出さないで!」と言っても、「俺はいつでも金稼げるから、変な遠慮するな!」と折れないのです
彼にお金を出させるのが、本当にイヤだったので…私は万が一彼がお金を払ったとしても、あまり負担にならないよう、欲しかったラジカセではなく、安いラジカセを買いました
お目当てのラジカセを買えなかった…私の方が怒りたいくらいなのに
なんで〇〇君がムカついてんのよ〜っ
そのラジカセは購入してから割りと直ぐ、カセットテープが頻繁に絡むようになり…私のお気に入りだった【マリーン】のテープを飲み込んで、そのまま壊れてしまいました
テープが絡みついて…フォルダーが開かなくなったラジカセ
それはまるで私を模したように思え…新しいラジカセを買った後も、捨てる事が出来ませんでした
あの日彼は何故…私に会いに来たのか
家まで送るなんて…それまで言った事はなかったのに
なにか話したい事があったのではないか…けれど私はその時の服装がどうとか、愚かな羞恥心と嫉妬心で、大切な再会の時間を無駄にしてしまったのです
本当は誰かに、落ちて行く自分を止めて欲しかったのかも知れない…そうでなかったとしても、せめて伝えたかった
私が懇願しても…彼の選んだ道が、変わる事などなかったかも知れない![]()
真っ当というのは憚られるけれど…アウトローな生き方は選んで欲しくないと、彼に思いをぶつければ良かった
任侠の世界に身を置いたとは限らない…けれど私にはそれを確信できる術がないのです
自宅の電話番号は知らせてあったけれど…私の嫌がる事をしない彼が、電話をかけて来た事は一度もなかった
私が思う幸せのかたちと…彼の望む未来は違ったかも知れない、けれどあなたは本当に素敵なひとだから、危ない生き方を選んで欲しくなかった
〇〇君の行く末が心配なのだと…心底訴えたかった![]()
私の事を尊重してくれた〇〇君…私が本気で頼んだら、気持ちが変わっていたかも知れない
傲慢かも知れないけれど…そう思えて仕方ないのです
ただでさえ就職難だった世代…私は社会に身を置くようになり、彼のような生い立ちの方々が、仕事を探すという事が、いかに困難であるかを知りました![]()
人生はドラマのようには行かない…何度悔やんでも、あの日には戻れない、チャンスはもう2度と訪れる事がないのです![]()
彼は私をどう思っていたのか…もう忘れてしまっただろうか
私は彼の献身に…キチンとお礼が言えてない
これ程の歳月が流れた今となっても…ずっと心残りなのです
彼は今…心の底から笑って過ごせているのか
せめて…生きていて欲しい
ある日乗車したタクシー運転手さんが言ってました…年を取ると皮膚が乾燥し、背中が痒くなる、孫が遊びに来ると「じいちゃんの背中、かいてやる」って、かいてくれるのだそうです
「それがなにより嬉しい、これが幸せなんだなぁ!」としみじみ語っていました
とても微笑ましいエピソード
彼もそんな些細な事が幸せだと…感じられる日々を過ごしていてくれたら
どんなに厳しい道を歩んで来ようと…その轍が荒れたものであっても、思い返せば全て幸せに繋がっていて、これから歩む道は、沢山の愛に溢れ、あたたかな光でみたされいて欲しいと願っています
今も世界では争いが続き…明日の命も危うい人が大勢いる
故郷を追われたひと…国から見放されたひとも沢山いる![]()
ここあさんの書いた文字は神々しく…希望に満ち溢れている![]()
けれど…『道』と言う言葉さえ知らず、必死に今日を生きているひとがいる![]()
生まれる場所は選べない…そこで必死にもがくしかない人生![]()
いつの日か…皆んなが夢を持って、自分の望む『道』を歩ける未来になれば良いと、心から祈るばかりです![]()
ここあさん…リブログさせて頂き、本当にありがとうございました![]()
心より…感謝を込めて![]()
デッキに閉じ込められた…切ない思い出の曲![]()
こちらの曲はいかがでしょうか![]()
動画をお借りしました![]()
伝えられなかった思い…あなたに届いてますように
こちらの曲はいかがでしょうか
動画をお借りしました
突然の雨風…気温の変化で、お体を崩されてるかたも多い事と思います…体調にご留意下さい💦
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