学校から帰って来て、休憩時間はあっという間に終わった。

グズグズしているリオに、

「早よせい」と声を掛ける。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

「は~い」と気の抜けた返事をしながら、もたもたとカバンを開けるリオ。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

ドサッと問題集を出す。かなり重い。

手前右手の青いのはランチバッグ。ここにサンドイッチなどを入れて学校に持って行ってる。その向こうの黒いのは筆箱。学校で鉛筆は学級全体のものを共有するので(学年のはじめにたくさん買って、学校に持って行く)筆箱はいらないのだが、個人的に使いたい筆記用具がある子は、それを持って行く。


リオの筆箱に変な物がひっついているのに気づいた。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

「なんや、それ?」

「kooky penだよ、お父さん」

「kooky?」

「うん。silly(馬鹿げた、ふざけた)っていう意味」

そう答えて、リオはその変なペンの頭を押さえたら、

下の穴からボールペンのペン先が出てきた。


「これ、cutterっていうの」とリオは言って、ペンの裏を見せてくれた。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

確かにcutterと書いてある。

「170ってあるでしょ。これは170番目のクーキーペンなの」

「ふ~ん。全部でどれくらいあんの?」

「300」

「ええ?そんなあんの。まあ、ええわ(どこが「まあ、ええわ」なのかよくわからぬが)、あんまりしょ~もないもん買うなよ」

すると、ジーニィが、

「お父さん、見て見て」



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

「ほら、ジーニィは4っつもあるんだよ」



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

「ほら、可愛いでしょ」と嬉しそうに見せるジーニィ。

なんでも、今、学校でこのペンを集めるのがはやっているそうだ。

去年は例のジェルペンがはやっていた。

文房具メーカーも次から次へと無駄なものを作りやがる。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

もちろんそれぞれ名前もついている。

ジーニィが全部名前を言おうとするのを遮って、

「もう、ええ。早よ勉強せい!」


このペンは1本だいたい2ドル50セントだそうだ。

安物の箱入りペンが12本で5ドルもしないことを考えれば、結構高い!


まあ、しかし、これを「ペン」と認識すること自体が恐らく間違っているのであろう。

そう言えば、僕も昔、鍵もないのにキーホルダーを集めてたような記憶がある。

ジーニィと同じようにカバンにつけていたっけ。


お父さんはどんどん年をとって、子供の遊び心がわからなくなってしまったのだ。

うむ、これはわびしいぞ。


クーキーペンを手に取って、字を書いてみた。

「書きやすいでしょ?」とジーニィに言われたが、

太短いペンの胴体が妙に手に馴染まなかった。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

(「ねぇ、もうちょっとジョイと遊ばせて」と、宿題前に嘆願するジーニィ)



Takaya


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