ベッツィーは今夜遅くなると言っていたが、予定が変わっていつもより少しだけ遅い時間に帰宅した。
ジーニィは食後のデザートをベッツィーと一緒に作った。
カタカタカタ。
忙しく回るスプーンがコップに当たる。
何を作っているのか?
自家製チョコレートミルク。
と言っても、自家製なのは、チョコレートソースとミルクの配分、そしてそれと混ぜるところだけだが。
「あら、ジーニィのより私の方が濃いわねぇ」とベッツィーが言った。
「じゃあ、ジーニィもちょっとこくする」
ジーニィはそう言うと、チョコレートソースを少し足した。
「今日は算数のテストで26問中25問正解だったよ」
「あなたは本当に賢いわね」と、アメリカの母のように(事実そうだから)ベッツィーはジーニィを褒めた。
カタカタカタ。
チョコレートミルクはとっくに混ざっているが、母と娘はお喋りをしながらスプーンを持つ手を回し続ける。
「あんたらいつまでかき回してんねん?」と僕が指摘すると、
「あはははは」と二人は笑った。
ジョイは言葉が話せないので、母娘の会話に入る事ができなかった。
ちょっと寂しそう。
もっとも、カウンターの上は禁止になっているので、あちらまで行けば床に降ろされるだけだ。
ようやく混ぜ終わって、食卓に向かうジーニィ。
「こら、歩きながら飲むな!」とすかさず注意。
食卓についたと思ったら、今度はブクブクと泡をふくらませるジーニィ。
「こぼすなよ」と言ったのに、しっかりこぼした。
「お父さん、見て見て。こんなにいっぱい」
ジーニィは泡を作ってはそれをストローで吸いこみ、また泡を作る、という作業を繰り返した。
実は、この30分前までは、サックスの練習をしていて、音がうまく出ないので大泣きしていたジーニィ。ベッツィーが慰めて、一緒にチョコレートミルク作りを始めたのだった。
泣いているといつも同情し、優しくしてくれるベッツィーがジーニィは大好きである。
僕の目には、ベッツィーは子供に甘すぎると映るが、ちゃんと慰めてくれる母親がいるというのも大切だな、と思った。
椅子の上でジーニィがデザートを食べ終わるのをふてくされながら待つジョイ。
ジーニィは今ベッツィーに甘えているので、ジョイはジーニィに甘えられない。
何事にも順番があるのだ。
しかし、捨てる神あれば拾う神あり。
リオと僕がボール遊びをしてやったので、ジョイの機嫌は直った。
Takaya
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